【発表】UTI疑い成人患者の外来・オンライン診療におけるトリアージ指針
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診療指針

7日前

【発表】UTI疑い成人患者の外来・オンライン診療におけるトリアージ指針

【発表】UTI疑い成人患者の外来・オンライン診療におけるトリアージ指針
JAMA Network Openに、 成人の尿路感染症 (UTI) 疑いに対する外来・オンライン診療でのトリアージ指針が発表された。 同指針では、 電話、 ポータルメッセージ、 オンライン診療、 対面診療など多様な受診形態を想定し、 尿検査、 尿培養、 経験的抗菌薬投与、 対面評価の適応を整理している。 

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JAMA Netw Open. 2026 Jan 2;9(1):e2556135.

作成の背景

UTIへの抗菌薬適正使用が課題

UTIは外来診療で頻度が高く、 抗菌薬処方につながりやすい疾患である。 一方、 外来でUTI疑いに対して処方される抗菌薬の一部は不要とされ、 抗菌薬適正使用の観点から、 初期対応の標準化が課題となっている。

従来のUTI関連ガイドラインは、 主に抗菌薬の選択や投与期間、 複雑性UTIやカテーテル関連UTIの定義などに焦点を当てていた。 しかし、 COVID-19流行以降、 電話診療、 ビデオ診療などが普及し、 診察や尿検査を行わずに抗菌薬を処方するかどうかを判断する場面が増えている。

こうした背景から、 同指針ではRAND/UCLA Appropriateness Methodを用い、 13人の多職種専門家パネルが136の臨床シナリオを評価した。 成人非妊娠女性と成人男性に分け、 尿検査、 尿培養、 経験的抗菌薬、 対面・オンライン診療の適切性を実臨床に即したアルゴリズムとして整理している。

*なお、 本指針は米国の外来・遠隔診療環境を前提に作成されたものであり、 日本での参照に当たっては診療体制の違いに留意したい。

主なポイント

重症・複雑例を疑う場合は同日対面評価

発熱、 悪寒、 嘔吐、 側腹部痛、 肋骨脊柱角 (CVA) 叩打痛、 強い倦怠感、 意識変容などを認める場合は、 腎盂腎炎、 複雑性膀胱炎、 尿路閉塞、 敗血症などを考慮する必要がある。

このような症例では、 オンライン診療ではなく、 同日中の対面評価が推奨される。 バイタルサイン、 身体診察、 画像検査や静注治療の要否を含め、 重症度を評価した上で治療方針を決定することが重要である。

UTI以外を示唆する症状では鑑別診断を優先

性器分泌物、 外陰部掻痒、 発疹、 皮膚病変、 咳、 下痢、 耳痛などを伴う場合は、 単純なUTIトリアージの対象外とされる。

これらの症状は、 性感染症、 腟炎、 消化器感染症、 呼吸器感染症などUTI以外の疾患を示唆する可能性がある。 そのため、 経験的抗菌薬投与ではなく、 対面診療または検査体制のあるオンライン診療で評価することが望ましい。

尿の色・におい変化のみでは検査・抗菌薬は不要

尿の色やにおいの変化のみで、 排尿痛、 頻尿、 尿意切迫、 恥骨上部痛などの膀胱炎症状を伴わない場合、 尿検査や抗菌薬投与は推奨されない。

尿の性状変化は、 水分摂取量、 食事、 薬剤、 ビタミンなど非感染性の要因で生じることがある。 指針では、 このような症例では患者教育を行い、 水分摂取や症状の経過観察を促す対応が示されている。

女性の典型的膀胱炎、 検査なし治療も可

非妊娠成人女性で、 排尿痛、 頻尿、 尿意切迫、 恥骨上部痛など新規の典型的な膀胱炎症状を認め、 抗菌薬耐性リスクや他疾患を示唆する所見がない場合、 尿検査や受診なしに経験的抗菌薬を開始することは適切であるとされた。

一方で、 18~21歳の初回エピソード、 閉経周辺期・閉経後、 再発性UTI、 過去の尿培養陰性例などでは、 別疾患や背景因子の評価が必要となるため、 より慎重な対応が求められる。

男性・耐性リスクを有する女性では尿検査と尿培養を重視

抗菌薬耐性リスクを有する女性、 および成人男性では、 抗菌薬開始前に尿検査と尿培養、 または尿検査異常時に自動的に尿培養を追加する 「反射培養」 を行うことが推奨される。

耐性リスクとしては、 直近30日以内のUTI治療、 再発性UTI、 最近の入院、 フルオロキノロン系・ST合剤・広域βラクタム系抗菌薬の使用歴、 多剤耐性菌の既往、 尿路カテーテル使用、 免疫抑制、 コントロール不良糖尿病、 単腎、 CKD stage 4以上などが挙げられる。

また、 尿検査単独では偽陽性の問題があり、 尿培養なしに抗菌薬適応を判断するのは不適切とされた。 市販の尿試験紙についても、 実施方法や解釈のばらつきから、 通常の尿検査・尿培養の代替とはならないとされた。

受診・検査困難例では例外的に経験的治療を考慮

同指針では、 検査や受診へのアクセスが困難な患者に対して、 例外的に尿検査なしで経験的抗菌薬を考慮できることも示された。

具体的には、 72時間以内に移動手段がない、 最寄りの検査施設まで1時間以上かかる、 検査施設が24時間以上利用できない場合などが該当する。 この場合も、 患者の症状やリスクを記録し、 可能な範囲で医師に情報共有することが重要とされる。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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