海外ジャーナルクラブ
2ヶ月前
Verheijdenらは、 免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) を投与された患者を対象に、 コルチコステロイドの投与が生存率に与える影響を6件の臨床試験の後ろ向き解析で検討した。 その結果、 コルチコステロイドのピーク用量が高いほど無増悪生存期間 (PFS)、 全生存期間 (OS) が悪化することが示された。 本研究は、 J Clin Oncol誌にて発表された。
Section Editorが、 わざわざ実臨床に沿ったコメントを付記しているのでご紹介します。
「より低用量、 かつ長期のステロイド投与がirAEを管理する上で望ましい方法であると考えられるが、 irAEの重症度によってはより低用量のグルココルチコイドを使用する選択肢がない場合もある」
ICIを投与された悪性黒色種患者において、 免疫関連有害事象 (irAE) に対する免疫抑制治療は生存率を悪化させる可能性があることが、 後ろ向き研究で示唆されている。 そこで本研究では、 6件の国際共同第Ⅱ/Ⅲ相試験のデータを用いてこの関連を検討した。
6つの臨床試験 (CheckMate-067、 -142、 -214、 -648、 -743、 -9LA) の抗PD-1抗体+抗CTLA-4抗体療法群の患者データについて、 事後解析を行った。
治療関連有害事象 (trAE) に対して免疫抑制薬による治療を受けた患者を対象に、 コルチコステロイドのピーク用量および累積用量、 免疫抑制薬の二次投与とOSおよびPFSとの関連を、 年齢および性別で調整した多変量Cox回帰分析を用いて評価した。
抗PD-1+抗CTLA-4療法を受けた患者1,959例のうち、 trAEに対して免疫抑制療法を受けた患者834例が組み入れられた。
PFSにおける調整ハザード比 (以下、 HR) は以下の通りであった。
OSにおけるHRは以下の通りであった。
コルチコステロイドの累積投与量は、 生存率と関連を認めなかった。
免疫抑制薬の二次投与に関するHRは以下の通りであった。
著者らは 「trAEに対するコルチコステロイドのピーク用量が高いことは、 腫瘍の種類を問わず生存率の悪化と関連するが、 累積投与量は生存率に影響を及ぼさない。 免疫抑制薬の二次投与に関しては患者が少なく、 データは不十分であった。 これらのデータにより、 低用量のコルチコステロイドを用いたirAE管理の重要性が改めて確認された」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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