海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前
東京女子医科大学膠原病リウマチ内科講師の勝又康弘氏らは、 SLE患者を対象に、 グルココルチコイド (GC) の漸減による再燃リスクを前向きコホート研究で検討した。 その結果、 GCの漸減は再燃リスクの増加とは関連しておらず、 抗マラリア薬の使用は、 血清学的活性はあるが臨床的活動性がない修正SACQ (mSACQ) のSLE患者における再燃リスクの低下と関連していることが明らかになった。 本研究はAnn Rheum Dis誌にて発表された。
「GCの漸減は再燃リスクの増加とは関連しない」 との研究成果ですが、 介入の可能性(Cautious tapering of GCs is a feasible option)について、 かなり突っ込んで言及している印象を受けます。
全身性エリテマトーデス (SLE) 患者における長期のGC使用は副作用や臓器障害を引き起こすため、 可能な限り減量することが望まれる。 一方、 GCの減量は疾患の再燃や障害発生のリスクが懸念されている。
本研究は、 SLE患者におけるGC漸減後の再燃および障害発生リスクを評価することを目的として行われた。
2013~20年に前向きに収集された12ヵ国24施設のSLEの縦断コホートにて、 1997年のACR修正分類基準または2012年のSLICC分類基準のいずれかを満たしている成人SLE患者で、 以下の定義のmSACQの状態を少なくとも1回満たし、その後2年間の追跡データが得られた1,850例。
※mSACQの定義
血清学的活性 (抗dsDNA抗体の増加や低補体血症などの血清学的異常があり、SLEDAI-2Kスコアが2または4) はあるが、 臨床的活動性がない状態 (臨床的SLEDAI-2Kが0)。 なお、 SACQの当初の定義は、 2年間の継続と未治療を要したが、 今回は期間は考慮せず、 7.5mg/日以下のプレドニゾロン (PSL) 相当のGCを使用している、 もしくはGCを使用していない状態とした。
Cox比例ハザードモデルを用いて、 PSL1mg減量あたりの再燃または障害発生リスクを評価した。
742例が再燃し、 そのうち551例はGCを減量せずに再燃した。 重症再燃は271例で、 このうち176例はGCを減量せずに再燃した。
COX比例ハザードモデルによる解析では、 初期のGCの用量に関わらず、 再燃または重症再燃の発生とは関連しなかった。
抗マラリア薬の使用は、 初期PSL量が0~7.5mg/日および0~5mg/日のグループにおいて、 再燃および重症再燃の発生低下と関連していた。
5mg/日を超えるPSLで治療された患者で、 GCの漸減が臓器障害のリスク低下と関連していた。
著者らは、 「SLEのmSACQ患者においてGCの漸減は再燃リスクの増加とは関連しないことが示された。 一方、 抗マラリア薬の使用は再燃リスクの低下と関連していた。 また、 プレドニゾロンの初回投与量が5mg/日を超える患者では、 GCの漸減が臓器障害の発生リスク低下と関連していた。 これらの所見は、 慎重なGCの漸減が可能であり、 mSACQ期のSLE患者におけるGCの使用を減らすことができることを示唆している」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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