海外ジャーナルクラブ
8ヶ月前

Gillessenらは、 英国とスイスにおける非糖尿病で高リスクの転移性ホルモン感受性前立腺癌 (mHSPC) 患者に対して、 アンドロゲン除去療法 (ADT) を含む標準治療+メトホルミンの有効性および安全性を、 標準治療単独を対照として第Ⅲ相無作為化比較試験STAMPEDEで評価した。 その結果、 全生存期間 (OS) の有意な延長は認められなかったが、 ADTに伴う代謝異常が軽減する可能性が示された。 本研究はLancet Oncol誌において発表された。
本研究のように欧米では メトホルミンのほかアスピリン、 コルヒチン、 スタチンなどは 「万能薬」 のように捉えられることが多く、 さまざまな研究がなされています。
メトホルミンは広く使用されている糖尿病治療薬であり、 前立腺癌を含む一部の悪性腫瘍に対して抗腫瘍活性を有することが示唆されている。 また、 メトホルミンはアンドロゲン除去療法 (ADT) に伴う副作用の代謝異常を軽減する可能性がある。
そこで第Ⅲ相試験STAMPEDEでは、 メトホルミンがmHSPCのOS率を改善し、 ADTによる代謝異常を軽減する可能性があるという仮説を検証した。
英国およびスイスの112施設において2016年9月5日~23年3月31日に登録された、腎機能が良好 (GFR≧45mL/min/1.73 m²)、 WHO PS 0~2、 非糖尿病で高リスクのmHSPC患者1,874例が以下の2群に無作為に割り付けられた。
主要評価項目はintention-to-treat (ITT) 解析によるOSであった。
年齢中央値は69歳 (四分位範囲 [IQR] 63-73歳)、 PSA中央値は84ng/mL (IQR 24-352ng/mL) であった。
1,874例のうち1,758例 (94%) は新たに転移性疾患、 116例 (6%) は異時性再発疾患と診断された。 1,543例 (82%) がADT+ドセタキセルを、 52例 (3%) がアビラテロン、 エンザルタミド、 アパルタミドのいずれかを投与された。
追跡調査期間中央値60ヵ月 (IQR 49-72ヵ月) におけるOS中央値は、 メトホルミン併用群が67.4ヵ月 (32.5ヵ月-NR) であり、 標準治療群の61.8ヵ月 (IQR 29.7ヵ月-NR) と比べ有意差が認められなかった (HR 0.91 [95%CI 0.80-1.03]、 p=0.15)。
死亡はメトホルミン併用群の453例、 標準治療群の473例で報告された。
Grade3以上の有害事象 (AE) は、 標準治療群で52%、 メトホルミン併用群で57%に認められた。 消化器系のGrade3以上のAEは、 標準治療群で7%、 メトホルミン併用群で9%に認められ、 その他のすべての器官では群間差は示されなかった。 薬剤関連死亡は標準治療群の6例、 メトホルミン併用群の1例で報告された。
著者らは 「mHSPC患者全体において、 標準治療へのメトホルミン追加によるOSの有意な延長は認められなかった。 メトホルミンの安全性プロファイルは想定内であり、 主に下痢であった。 ADTに伴う代謝異常は、 標準治療群と比較してメトホルミン併用群で有意に軽減された」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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