海外ジャーナルクラブ
8ヶ月前
Latourらは、 発作性夜間ヘモグロビン尿症 (PNH) の患者を対象に、 経口B因子阻害薬iptacopanの有効性を2件の第Ⅲ相試験で検討した。 その結果、 iptacopanはPNH患者において、 血液学的転帰と臨床転帰を改善した。 本研究は、 NEJM誌において発表された。
NEJMは新しい形をどんどんと発信しています。 スポンサーが同じで介入薬が同じ、 ただ全くデザインが異なる2つの試験をまとめて1つの論文で報告しています。 ですので15ページの長編作品です。 2つの研究ともに試験デザイン上のlimitationが強いため、 2つ合わせて少しパワーアップした形にはなっています。
抗C5抗体療法を受けているPNH患者や、 補体阻害薬による治療歴のないPNH患者では、 溶血性貧血の持続と経口治療薬の不足が課題となっている。 ファーストインクラスの経口B因子阻害薬であるiptacopanは、 これらの患者のヘモグロビン値を改善する可能性があること示されている。
ヘモグロビン値が10g/dL未満のPNH患者を対象とした 2件の第Ⅲ相試験で、 24週間のiptacopan単剤療法を評価した。
抗C5抗体療法を受けていた患者を、 以下の群に割り付けた。
補体阻害薬による治療歴がなく、乳酸脱水素酵素 (LDH) が正常値上限の1.5倍超の患者にiptacopanを投与した。
主要評価価項目 (試験1)
主要評価項目 (試験2)
赤血球輸血なしでヘモグロビン値がベースラインから2g/dL以上上昇すること
赤血球輸血なしでヘモグロビン値がベースラインから2g/dL以上上昇
赤血球輸血なしでヘモグロビン値が12g/dL以上
赤血球輸血なしでヘモグロビン値がベースラインから2g/dL以上上昇
iptacopan群 : 33例中31例
iptacopanの投与によりヘモグロビン上昇、 疲労軽減、 網赤血球とビリルビンの低下がみられ、 LDHの平均値も正常上限の1.5倍未満となった。
iptacopanによる有害事象でもっとも頻度が高かったのは頭痛であった。
著者らは、 「抗C5抗体療法を受けていて貧血が持続しているPNH患者と補体阻害薬による治療歴のないPNH患者において、 iptacopan投与は血液学的および臨床的転帰を改善した。 抗C5抗体療法を受けている患者では、 iptacopanは抗C5抗体療法に対し優越性を示した」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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