海外ジャーナルクラブ
1年前
Yanらは、 全世界の全死因死亡率及び原因別死亡率と保健医療人材 (HRH) の不平等の関連性について、観察研究で検討。 その結果、 HRHの不平等は、 世界的に過去30年間で減少しているが、 依然として残っており、 全死亡率およびほとんどの種類の原因別死亡率は、 医療従事者が限られている国や地域で相対的に高いことが明らかとなった。 本研究はBMJにおいて発表された。
1万人あたりの保健医療人材の変化、 10万人あたりの死亡率の変化は共に今後広く引用されると思います。 ただ、 注意しないといけないのはこれは変化であるため、 元の値に大きく影響を受けます。 中国では保健医療人材がものすごくプラスに変化しており、 逆にアメリカは死亡率が減少していないように見えるのはそのためです。
172の国・地域
Global Burden of Disease Study 2019、 United Nations Statistics、 Our World in Dataの各データベース
人口1万人当たりのHRH密度に対する年齢標準化全死亡率
年齢標準化原因別死亡率
世界的に、 人口1万人あたりの総HRH密度は1990年の56.0から2019年の142.5へと増加した。
人口10万人あたりの年齢標準化全死亡率は1990年の995.5から2019年の743.8へと減少した。
ローレンツ曲線は等比線より下にあり、 CCIは0.43 (P<0.05) であったことから、 人間開発指数で上位の国や地域に医療従事者がより集中していることが示された。
HRHのCCIは、 1990~2001年は約0.42~0.43と安定していたが、 以降は2001年の0.43から2019年には0.38へと低下 (不平等の縮小) し続けている (P<0.001)。
多変量一般化推定方程式モデルにおいて、総HRHレベルと全死亡率との間には、HRHレベルが最も高いものを基準として負の関連が認められた。
総HRH密度と死亡率の負の関連は、 顧みられない熱帯病やマラリア、 腸管感染症、 母体・新生児疾患、 糖尿病・腎臓病など、 いくつかのタイプの原因別死亡率でより顕著であった。
医師、 歯科医師、 薬剤スタッフ、 補助者、 救急医療従事者、 検眼士、 心理学者、 パーソナルケアワーカー、 理学療法士、 放射線技師の密度が低い国や地域の出身者では、 死亡リスクが高くなる可能性が高かった。
HRHにおける不平等は、 世界的に過去30年間で減少しているが、 依然として残っている。 全死亡率およびほとんどの原因別死亡率は、 医療従事者が限られている国や地域で相対的に高く、 特に優先疾患の中でもいくつかの特定のタイプで高かった。 今回の調査結果は、 2030年までにユニバーサル・ヘルス・カバレッジを達成するために、 公平性を重視した医療人材政策の策定、 医療資金の拡大、 不十分なHRHに関連する死亡を減らすための的を絞った施策の実施に向けた政治的コミットメントの強化の重要性を強調している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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