HOKUTO編集部
5時間前

欧州血液学会 (EHA 2026) が、 6月11~14日にスウェーデン・ストックホルムで開催される。本稿では、本年のPlenary・Late-Breaking Oral Session・Oral Abstract Sessionから血液腫瘍領域の注目演題10題を紹介する。
GPRC5D×CD3二重特異性抗体タルケタマブを、 既治療多発性骨髄腫 (MM) に対し、 ダラツムマブ+ポマリドミド+デキサメタゾン (DPd) などの標準的レジメンと比較する第Ⅲ相試験。タルケタマブ+ダラツムマブ+ポマリドミド、 またはタルケタマブ+ダラツムマブの有効性・安全性が検証される。主要評価項目はPFSで、OS、奏効率、MRD陰性化率、安全性なども評価される。GPRC5D標的薬に特徴的な味覚障害、皮膚・爪関連事象、体重減少などの管理も注目点となる。日本でも承認済みの薬剤であり、既治療MMにおける治療選択肢の位置付けを考える上で重要なデータとなり得る。
新規診断の小児高リスクB前駆細胞性急性リンパ芽球性白血病 (B-ALL) において、CD19×CD3二重特異性T細胞誘導 (BiTE) 抗体ブリナツモマブで、強化化学療法の一部を置き換える治療戦略の有効性・安全性を検証した第Ⅲ相試験。同試験では、強化地固め療法の一部をブリナツモマブ2コースに置き換えることで、治療関連合併症の低減を目指した検討が行われている。EFS、OS、安全性などが評価され、小児高リスクB-ALLにおける化学療法強度の最適化を考える上で注目される。
高リスクくすぶり型多発性骨髄腫 (HR SMM) に対し、BCMA×CD3二重特異性抗体テクリスタマブを、レナリドミド+デキサメタゾン (Rd) と比較する第Ⅱ相試験。無症候性だが進展リスクの高いHR SMMに対し、免疫療法を早期に導入する治療戦略の有効性・安全性が検証される。奏効深度、MRD陰性化、PFS、安全性などが評価され、HR SMMにおける治療介入のあり方を考える上で注目される。感染症や低γグロブリン血症など、BCMA標的二重特異性抗体で留意すべき有害事象の管理も重要な確認点となる。
CD20×CD3二重特異性抗体エプコリタマブを、再発・難治性大細胞型B細胞リンパ腫 (R/R LBCL) で治験医師選択の化学免疫療法と比較した第Ⅲ相試験。PFSや完全奏効率、奏効持続期間などが評価され、OSについては後治療やCOVID-19関連死亡の影響も含めて解釈が必要となる。国内ではR/R DLBCLに対して承認済みであり、CAR-T療法や自家造血幹細胞移植の適応とならない患者を含め、R/R LBCLにおける治療選択肢の位置付けを考える上で注目される。
61~75歳の進行期古典的ホジキンリンパ腫 (cHL) に対し、ブレンツキシマブ ベドチンを含むBrECADD療法をPET-guidedで用いる治療戦略の有効性・安全性を検証したHD21高齢者コホートの最終解析。PET2陰性例では計4サイクル、PET2陽性例では計6サイクルが推奨され、3年PFSやOS、完全奏効率、遅発毒性などが評価される。高齢cHLにおける強力治療の有効性と忍容性、フレイルの影響を考える上で注目される。
FLT3変異陽性で強力化学療法の適応となる新規診断AMLにおいて、FLT3阻害薬ギルテリチニブとミドスタウリンを、寛解導入・地固め療法との併用および維持療法として比較した第Ⅲ相試験。主要評価項目はOSで、EFS、MRD陰性化率、移植への移行、安全性なども評価される。FLT3変異陽性AMLの1次治療におけるFLT3阻害薬の選択を考える上で注目される一方、OSの主要評価項目は達成されなかったと発表されており、詳細データの解釈が重要となる。
非共有結合型BTK阻害薬ピルトブルチニブを、ベネトクラクス+リツキシマブ (V-R) に固定期間レジメンとして上乗せし、既治療CLL/SLLで検証した第Ⅲ相試験。PFSを主要評価項目とし、MRD陰性化率、奏効持続期間、次治療までの期間、安全性なども評価される。共有結合型BTK阻害薬による治療歴を有する患者を含め、既治療CLL/SLLにおける固定期間治療の選択肢を考える上で注目される。
新規診断の慢性期CMLにおいて、STAMP阻害薬アシミニブと治験医師選択TKIを直接比較した第Ⅲ相ASC4FIRSTの144週解析。96週時点でMMR達成率の優位性が示されており、144週解析では分子遺伝学的奏効の持続性、治療継続率、長期安全性などが評価される。日本でも2025年にCML成人患者に対する効能追加承認を取得しており、CMLの1次治療における治療選択を考える上で参考となる長期データである。
HLA適合非血縁ドナーから末梢血幹細胞移植を受ける高リスクAML/MDS/MDS-MPN患者を対象に、GVHD予防としてATGを含むレジメンとPTCyを比較した第Ⅲ相試験。主要評価項目はOSの非劣性で、急性・慢性GVHD、非再発死亡 (NRM)、GRFS、移植後感染症なども評価される。PTCyでは急性・慢性GVHDの発症抑制が示された一方、感染症やNRMへの影響も報告されており、非血縁ドナー移植におけるGVHD予防法の選択を考える上で注目される。
進行期全身性肥満細胞症 (AdvSM) を対象に、KIT D816Vに対する活性を有する経口選択的KIT阻害薬bezuclastinibの有効性・安全性を検証したAPEX試験の主要解析。AdvSMはaggressive SM、SM-AHN、mast cell leukemiaを含む希少なクローン性骨髄性腫瘍であり、midostaurinやavapritinibに続くKIT阻害薬の治療選択肢としての位置付けが検討される。主要評価項目はORRで、安全性、血清トリプターゼ低下、骨髄肥満細胞比率、症状改善なども評価される。
ASCO 2026 (2026年5月30日~6月3日、米・シカゴ) で既に発表され、 HOKUTOで配信済みの以下3演題は、重複を避けるため本特集の対象から除外しました。EHA 2026期間中に追加データやサブグループ解析の発表があれば、続報として別途お届けする予定です。
▼ ASCO 2026 HOKUTO 配信記事 (該当3演題のレポート)
EHA 2026における注目演題は、 大阪国際がんセンター血液内科副部長の藤重夫先生にご解説いただく予定です。

HOKUTOでは各演題のレポートを順次公開予定。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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