HOKUTO編集部
6日前
化学療法の適応がある未治療の⾼リスクHR+/HER2‑転移乳癌(mBC)における1次治療としてのCDK4/6阻害薬パルボシクリブ+内分泌療法について、 標準化学療法を対照に⽐較した第Ⅳ相⾮盲検無作為化比較試験PADMAの結果より、 TTFとPFSの有意な延長が示された。 独・GBG Forschungs GmbHのSibylle Loibl氏が発表した。
高リスクHR+/HER2- mBCの1次治療において、 CDK4/6阻害薬と内分泌療法の併用が国際的ガイドラインで既に推奨されている。 しかし、 実臨床においては多くの患者が依然として1次治療として化学療法を受けていた。
第Ⅳ相試験PADMAは、 高リスクHR+/HER2-mBCの1次治療として、 CDK4/6阻害薬+内分泌療法と標準化学療法±内分泌療法との比較を行った、 初めての前向き試験である。
化学療法の適応がある未治療の⾼リスクHR+/HER2‑ mBC120例が、 以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けられた。
主要評価項目は、 無作為化から病勢進行/治療毒性/患者の希望/死亡による治療中止までの期間のいずれかと定義された治療成功期間 (TTF)。
副次的評価項目は、 無増悪生存期間 (PFS)、 全生存期間 (OS)、 安全性、 毒性、 治療コンプライアンスなどだった。
全体の年齢中央値は62歳 (範囲 31-85歳)、 閉経後患者88.3%であり、 両群で概ねバランスが取れていた。
PAL+ET群/CT±ET維持群における肝転移は45.9% / 37.3%、 内分泌療法抵抗性は27.9% / 35.6%、 PIK3CA変異陽性は18.0% / 27.1%、 BRCA1/2変異陽性は4.9% / 6.8%、 ESR1変異陽性は1.6 / 1.7%であった。
追跡期間中央値 36.8ヵ月 (範囲 0-74.4ヵ月) におけるTTF中央値はPAL+ET群が17.2ヵ月と、 CT±ET維持群6.1ヵ月に比べて有意に延長した(HR 0.46 [95%CI 0.31-0.69]、 p<0.001)。
PFS中央値はPAL+ET群が18.7ヵ月で、 CT±ET維持群の7.8ヵ月に比べて有意に延長した (HR 0.45 [95%CI 0.29-0.70]、 p<0.001)。
またOS中央値はPAL+ET群が46.1ヵ月、 CT±ET維持群が36.8ヵ月と、 PAL+ET群で改善傾向が示されれた。
Grade3以上の治療関連有害事象 (TRAE) 発現率は、 PAL+ET群が59.7%、 CT±ET維持群が27.6%であった。
全Gradeの血液学的TRAE発現率はそれぞれ96.8%、 58.6%とPAL+ET群で有意に高く(p<0.001)、 非血液学的TRAE発現率は両群で同程度であった (82.3%/93.1%)。
重篤なTRAE発現率は両群ともに低く (11.3%/10.3%)、 治療関連死亡はPAL+ET群で1例 (敗血症性ショック) が報告された。
Loibl氏は 「HR+/HER2-mBCの1次治療として、 CDK4/6阻害薬+内分泌療法を推奨する既存の国際的ガイドラインの内容が裏付けられた」 と述べた。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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