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27日前

【Ann Intern Med】AF患者への左心耳閉鎖術 =脳梗塞および出血リスクの程度で有益性に差あり


Chewらは, 脳卒中既往がない非弁膜症性心房細動 (NVAF) 患者を対象に, リスク分類に基づく脳卒中予防の至適治療をMarkovモデルを用いた意思決定分析で検討した. 結果, 左心耳閉鎖術は抗凝固薬の代替となりうるが, 左心耳閉鎖術が有益であるためには脳卒中リスクが十分に低いことが必要であることが示唆された. 本研究は, Ann Intern Med誌において発表された. 

📘原著論文

Chew DS, et al, Left Atrial Appendage Occlusion Versus Oral Anticoagulation in Atrial Fibrillation : A Decision Analysis. Ann Intern Med. 2022 Aug 16. doi: 10.7326/M21-4653.PMID: 35969865

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

一見難しいのですが 「我々の日常の臨床判断を研究で明確にした」 と言えると思います. AとBという2つの治療でどちらか一方が絶対的に良い, というのではなく, 時と場合によって (リスクとベネフィットが患者のさまざまな状態において)異なることを明らかにしています (今回の研究ではHAS-BLEDスコアとCHA₂DS₂-VAScスコアを使用しています).

🔢関連HOKUTOコンテンツ

CHA₂DS₂-VAScスコア

心房細動患者の脳梗塞発症リスク

HAS-BLED スコア

抗凝固療法を受けている心房細動患者の出血リスク


背景

左心耳閉鎖術は, 心房細動 (AF) 患者の一部において, 経口抗凝固薬に代わる治療法として期待されている. 抗凝固薬と比較して, 左心耳閉鎖術は大出血のリスクを減少させるが, 抗凝固薬と比較して脳梗塞リスクを変化させるかについては不明であった.

研究デザイン

対象

非弁膜症性心房細動で脳卒中既往がない患者.

方法

介入:左心耳閉鎖術とワルファリンまたは直接経口抗凝固薬 (DOAC) の比較.

主要評価項目:質調整生存年 (QOLY) で測定した臨床的有用性.

研究結果

出血リスクが高い場合, 左心耳閉鎖術が有利であったが, 脳梗塞のリスクが高くなるとその利点は確実でなくなった.

(HAS-BLEDスコアが5点の場合, CHA₂DS₂-VAScスコアが2~5点のモデルシミュレーションでは, 80%以上で左心耳閉鎖術が有利であった)

出血リスクが低い (HAS-BLEDスコア 0~1点) 場合に, 左心耳閉鎖術がQALYで有利となる確率 (80%以上)は, 脳梗塞リスクが低い (CHA₂DS₂-VAScスコア 2点)患者に限定されていた.

結論

左心耳閉鎖術は, AFで出血リスクの高い患者において, 脳梗塞予防のための抗凝固薬の代替となりうるが, その全体的な有益性は, 個々の患者の脳梗塞と出血リスクの組み合わせに依存するものである. これらの結果は, 左心耳閉鎖術が有益であるためには, 脳梗塞リスクが十分に低いことが必要であることを示唆している. 著者らは, これらの結果が, 左心耳閉鎖術の対象患者を選択する際の意思決定を改善する可能性があると考えている.


こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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