海外ジャーナルクラブ
1年前
Moritaらは、 汎発型膿疱性乾癬 (generalized pustular psoriasis:Gpp) の患者を対象に、 抗IL-36Rモノクローナル抗体であるスペソリマブの効果と安全性を第Ⅱb相プラセボ対照無作為化比較試験Effisayil 2で検討した。 その結果、 スペソリマブ高用量群はGppの急性症状の発現を抑制し、 安全性プロファイルも良好であることが示された。 本研究は、 Lancet誌において発表された。
皮膚科疾患の興味深い部分なのですが、 本試験においてもプラセボと有意な差が確認できたのは高用量群のみでした。 プラセボ効果をある程度認めるため、 試験デザインは注意が必要です。 また日常診療における民間療法の効果にも注意が必要です。
スペソリマブは、 Gpp再燃の治療薬として承認されている抗IL-36Rモノクローナル抗体である。
Gpp既往歴があり、 少なくとも2回のGpp急性症状を経験しており、 スクリーニング時および割り付け時に「膿疱性乾癬に対する医師による全般的評価」 (generalized pustular psoriasis physician global assessment:GppGA) スコアが0または1点の12~75歳まで患者:123例
患者を以下の群に1:1:1:1の割合で無作為に割り付け。
各群ともに48週間皮下投与
48週の投与期間における初回Gpp急性症状の発生までの期間
主要評価項目
<高用量群>
高用量群はプラセボに比べて急性症状発生までの期間が有意に長かった。
HR 0.16、 95%CI 0.05-0.54、 p=0.0005
<低用量群・中用量群>
低用量群と中用量群においては、 プラセボ群と比して有意差は認められなかった。
低用量群:HR 0.35 (95%CI 0.14-0.86、 linear p=0.0057)
中用量群:HR 0.47 (95%CI 0.21-1.06、 p=0.027)
用量反応関係
主要評価項目に関するプラセボ群との比較において、 スペソリマブ群でnon-flatな用量反応関係が認められ、 事前に定義された各モデルにおいて統計学的に有意な差が確認された。
感染症の発生率はスペソリマブ群とプラセボ群で同程度であった。 また、 重篤な副作用や治療中止の原因となる過敏反応も報告されなかった。
高用量のスペソリマブは、汎発型膿疱性乾癬の再燃予防においてプラセボより優れており、 48週間にわたって急性症状の発現を有意に減少させた。 汎発型膿疱性乾癬の慢性化特性を考慮すると、 急性症状の予防治療は臨床アプローチの重要な転換点となり、 最終的には患者のQOL改善や合併症の発生の減少に寄与する可能性がある。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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