寄稿ライター
2日前
新NISAをしている先生も多いでしょう。 連載 「医師による医師のための財テク術」 第25回からは、 新NISAの仕組みや注意点などを解説します。
まずはおさらいです。 NISA (少額投資非課税制度) は、 株式や投資信託などの売却益や配当金に対して、 本来約20%課税されるところを非課税にする制度です。 2014年に導入された旧NISAに加え、 つみたてNISAやジュニアNISAも展開されてきましたが、 これらは2023年で終了。 2024年より、 新たに恒久制度として 「新NISA」 がスタートしました。
NISAはイギリスのISA (Individual Saving Account) をモデルにしています。 直訳は 「個人貯蓄口座」。 イギリス人の46%は貯蓄20万円以下、 25%は貯蓄4万円以下というデータがあります。 貯蓄が根づきにくい文化・考え方を打破するため、 貯蓄を含めた資産形成を促すため制度が導入されました。
一方、 日本は貯蓄大国であり、 「貯蓄から投資へ」 という流れを加速させることが新NISAの導入目的です。 似た制度ですが、 実は少し毛並みが違うのです。
【表1】は新NISAの概要です。 積立投資枠と成長投資枠を合わせ、 年間360万円まで投資が可能です。 生涯で投資できる総額は1800万円で、 そのうち成長投資枠は最大1200万円までと定められています。
積立投資枠は、 毎月定額で長期投資に適しているとされる投資信託に自動で投資する仕組み。 金融庁が認定した商品に限定されており、 最大月10万円まで投資できます。 なお、 ボーナス月に一括投資を組み込むなど柔軟な設定も可能です。
成長投資枠は、 個別株や幅広い投資信託に任意のタイミングで投資できます。 積立投資枠と同じ商品も選択可能で、 より自由度が高い点が特徴です。
旧NISAと比べて特に重要な変更点は以下の通りです。
これにより、 長期保有により複利効果を利用した資産形成が容易になる上に、 いざというときに躊躇せずに売れる、 利便性が高い制度になりました。
新NISAの積立投資枠では、 証券会社によってはクレジットカード決済が可能で、 利用額に応じてポイントが付与されます。 代表的なカードの還元率は1%前後ですが、 年会費の有無やキャンペーンで変動します【表2】。
「少しでも還元率が高い証券会社にしたいと」 と考えがちですが、 ポイント還元が長期投資のリターンに与える影響は限定的です。 たとえば、 月10万円の積立投資を年率5%で20年間行った場合、 運用実績が年率6%に向上するとトータルリターンは12.5%向上しますが、 還元率1%のクレカポイントがトータルリターンに寄与するのは0.6%にとどまる計算です。
そのため、 クレジットカード積立は 「ついでにポイントがもらえたらラッキー」 程度の感覚で活用するのが良いでしょう。 わざわざポイント目当てに証券会社を変える必要はなく、 年会費のかかるカードを持つほどのメリットも少ないと考えます。
今回のTake Home Messageは
次回は、 新NISAの投資対象として注目される 「S&P500」 について掘り下げていきます。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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