海外ジャーナルクラブ
1ヶ月前
McHughらは、 前立腺癌の患者を対象に、 多遺伝子リスクスコアを用いたスクリーニングの有用性を検討した。 その結果、 多遺伝子リスクスコアで高リスクと判定された集団では、 従来の診断法では見逃される、 臨床的に意義ある前立腺癌の発見率が高いことが明らかとなった。 研究結果はNEJM誌に発表された。
MRIの前後を問わず生検を受けることへの抵抗感が辞退の主な理由となり、 招待された人のうち22.2%の参加にとどまりました。
前立腺癌の発生率は上昇しており、 前立腺特異抗原 (PSA) によるスクリーニング検査は偽陽性率が高いという課題がある。
近年、 ゲノムワイド関連解析により、 前立腺癌患者で高頻度の生殖細胞系列バリアントが同定され、 多遺伝子リスクスコアの算出によって、 前立腺癌のリスク評価が可能となってきている。
英国のプライマリケアセンターから55~69歳の患者を登録した。 唾液から抽出した生殖細胞系列DNAを用いて、 前立腺癌リスクと関連する130のバリアントに基づき多遺伝子リスクスコアを算出した。
多遺伝子リスクスコアが90パーセンタイル以上の参加者を対象に、 PSA値に関係なく、 マルチパラメトリックMRIおよび経会陰的生検による前立腺癌スクリーニングの受診を勧めた。 主要評価項目は、 当検査プロトコルの臨床的意義であった。
4万292例が招待され、 8,953例 (22.2%) が参加希望を表明し、 6,393例で多遺伝子リスクスコアが算出された。
多遺伝子リスクスコアが90パーセンタイル以上であった745例 (11.7%) がスクリーニングの受診を勧められ、 そのうち468例 (62.8%) がMRIおよび前立腺生検を受けた。 468例中、 187例 (40.0%) で前立腺癌が発見された。 診断時の年齢中央値は64歳 (範囲 57~73歳) であった。
187例中103例 (55.1%) はNCCN基準に基づき 「中リスク以上」 と分類され、 治療適応があった。 103例中74例 (71.8%) は、 現在の英国診療フローでは癌が見逃されていたと推定された。
また、 187例中40例 (21.4%) は、 NCCN基準により 「好ましくない中リスク」 または 「高・超高リスク」 に分類された。
著者らは、 「多遺伝子リスクスコアでリスクが上位10%と判定された参加者を対象にした前立腺癌スクリーニングでは、 PSAやMRIを用いた従来の診断法に比べて、 臨床的に意義のある前立腺癌が多く検出された」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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