海外ジャーナルクラブ
10ヶ月前
Gillmore氏らは、 トランスサイレチン型 (ATTR) 心アミロイドーシス患者を対象に、 トランスサイレチン (TTR) 安定化薬acoramidisの有効性と安全性について、 第III相二重盲検無作為化比較試験ATTRibute-CMで検討した。 その結果、 acoramidisはプラセボに比べ、 死亡、 合併症、 機能の 4 段階の階層的主要転帰を有意に改善した。 本研究はNEJM誌に発表された。
有効性を4つの階層的解析を行って評価している点が素晴らしいです。 死亡、 入院、 バイオマーカー、 機能予後について有意差を検討しています。 有効とは何か?それに対する答えの出し方の1つと言えると思います。
ATTR心アミロイドーシスは、 単量体がミスフォールドされたTTRの心臓への蓄積を特徴とする。 acoramidisは4量体TTRの解離を阻害する作用を持ち、 生体外での測定では異なる投与間隔全体で90%を超える安定化をもたらし、 第II相試験で有効性が確認されている。
ATTR心アミロイドーシスと確定され臨床的心不全を有する18歳以上90歳未満の患者
患者を2 : 1の割合で無作為に割り付けた。
Finkelstein-Schoenfeld法を用いて4段階の階層的解析を行い、 全ての可能な組み合せの症例をペアワイズ法で比較した。
全死因死亡、 6分間歩行距離、 カンザスシティ心筋症質問票における全体サマリーのスコア、 血清TTR値
4段階の階層的解析においてacoramidis群はプラセボ群よりも有意に良好な結果を認めた。
p<0.001
ペアワイズ比較では63.7%がacoramidisを支持、 35.9%がプラセボを支持した。
win比 1.8(95%CI 1.4-2.2)
全死因死亡および心血管関連入院のwinとlossの合計はwin比の半分以上 (ペアワイズ比較の58%) を占め、 NT-proBNP値のペアワイズ比較のwin/loss比は23.3% vs 7.0%と最も高くなった。
有害事象の全発現率は両群で同程度であり、 重篤な有害事象はそれぞれ 54.6%、 64.9%に発現した。
ATTR心アミロイドーシスにおけるacoramidisの投与は、 プラセボに比べて全死因死亡、 心血管関連入院、 心機能と身体機能の要素を含む4段階の階層的主要アウトカムを有意に改善した。 有害事象の発現割合は両群で概ね一致していた。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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