海外ジャーナルクラブ
1年前

国立がん研究センター東病院の設楽紘平氏らの研究グループは、 CheckMate 649試験に参加した進行胃食道腺癌患者を対象に、 ニボルマブ (NIVO) を含むレジメンの奏効例の特徴や、 その効果を予測し得るバイオマーカーを探索的な事後解析で検討した。 その結果、 NIVOを用いたレジメンが有効となる可能性のある患者集団が示唆された。 研究結果はNat Med誌に発表された。
バイオマーカー解析対象群が全体の患者群と概ね類似していますが、 各バイオマーカー群のサンプルサイズが小さいため、 偏りをlimitationとして挙げています。
【CheckMate 649】未治療胃癌へのニボルマブ+化学療法、 4年時もOSとPFSを改善
CheckMate 649試験において、 PD-L1 CPS≧5の進行胃食道腺癌に対して、 NIVO+化学療法併用は化学療法単独と比べて主要評価項目である全生存期間 (OS) および無増悪生存期間 (PFS) の両方で有意な改善を示した。
一方、 NIVO+イピリムマブ (IPI) 併用療法は持続的な奏効および高い生存率を示したものの、 事前に規定したOSの有意水準には達しなかった。
この結果から、 NIVOを含む治療法により恩恵を受ける患者集団の存在が示唆されたが、 どのような患者に有効かを事前に見極める指標は明らかになっていない。
そこでこの研究では、 この治療法の効果を予測するバイオマーカーの特定を目的として、 探索的な事後解析が実施された。
CheckMate 649試験に参加し、 NIVO+化学療法併用または化学療法単独に無作為割り付けされた1,581例のうち、 685例の腫瘍組織を用いて全エクソーム解析を実施し、 809例の腫瘍組織のRNAを解析し遺伝子発現スコア (gene expression score) を検討した。
また、 NIVO+IPI併用療法または化学療法単独に割り付けた813例のうち、 366例を全エクソーム解析、 402例をRNA解析により分析した。
遺伝子変異数を多く有する超変異サブタイプ (hypermutated) では、 化学療法単独と比べて、 NIVOを含むいずれの治療もOSの延長が示唆された (NIVO+化学療法併用の死亡HR 0.37 [95%CI 0.15-0.90]、 NIVO+IPI併用療法の死亡HR 0.27 [95%CI 0.07-1.06])。
また、 NIVO+化学療法併用によるOSの改善効果を他の胃癌の分子学的分類で比較したところ、 ゲノム安定性サブタイプ (GSサブタイプ、 HR 0.70) やEBウイルス (EBV) 陽性サブタイプ (HR 0.61) と比べて、 染色体不安定性 (CINサブタイプ) の患者で効果がやや乏しかった (HR 0.92 [95%CI 0.74-1.13] )。
一方で、 NIVO+IPI併用療法では異なる傾向が認められ、 CINサブタイプでHRは0.81、 EBVサブタイプで0.76であったのに対し、 GSサブタイプでは1.01であった。

遺伝子変異のサブグループ解析では、 NIVO+化学療法併用は化学療法単独と比べてすべての遺伝子グループでOSの延長傾向が認められ、 特に、 KRAS遺伝子変異を認めるサブグループで顕著であった (HR 0.53 [95%CI 0.33-0.84])。 一方で、 遺伝子変異は、 NIVO+IPI併用療法と化学療法単独のOSに顕著な影響を及ぼさなかった。

また腫瘍間質に関わる遺伝子発現が低い (Stromal-low) 症例では、 NIVOの上乗せ効果が示唆された。 NIVO+IPI併用療法と化学療法単独の比較においては、 特に制御性T細胞 (Treg) に関する遺伝子発現が高い (Treg-high) 集団におけるOSの延長傾向が示唆された。

著者らは 「探索的解析により、 NIVO+化学療法併用の1次治療によりOSのベネフィットを得やすい、 あるいはNIVO+IPI併用療法の化学療法単独に対するベネフィットの可能性がある患者集団が示唆された。 この患者が有するバイオマーカーの臨床的有用性を検証するには、 詳細な前向き臨床研究が必要である」 と報告している。
【CheckMate 649】未治療胃癌へのニボルマブ+化学療法、 4年時もOSとPFSを改善
【CheckMate 649試験】胃 / 食道胃接合部 / 食道腺癌に対するニボルマブ+化学療法
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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