海外ジャーナルクラブ
1年前
Sørensenらは、 デンマークのDanish National Health Service診療データを基に、 静脈血栓塞栓症 (VTE) を経験した癌患者と、 VTE歴のない癌患者の総死亡率を大規模コホート研究で検討した。 その結果、 VTEを経験した患者の死亡率は、 そうでない癌患者に比べて有意に高く、 その状態は少なくとも5年後まで持続していた。 本研究はLancet Reg Health Eur誌において発表された。
癌患者におけるVTEと転帰との関連を見ている研究なのですが、 VTEで入院中に癌が見つかった患者の転帰、 また癌診断後にVTEを経験した患者の転帰と両方向性に検討している点で大変面白い研究です。
癌治療の進展に関わらず、 癌とVTEを合併した患者の長期生存の情報は不足している。
1995~2020年のDanish National Health Service診療データを基に抽出されたVTEを有する癌患者およびVTE歴のない癌患者 (対照群)
それぞれに対し、 癌の種類、 ステージ、 年齢、 性別、 癌と診断された年度がマッチするVTE歴のない癌患者の対照群を1:3の割合になるよう選出した。
Charlson併存疾患指数およびHospital Frailty Risk Scoreを用いて併存疾患およびフレイルのレベル、 配偶者の有無、 特定の薬剤の使用、 90日以内の手術の有無について調整した。
1,882例のうち、 44.4%に遠隔転移が確認された。
1年累積死亡率
死亡率比:4.34 (95%CI 3.95-4.78)
5年累積死亡率
死亡率比:3.44 (95%CI 3.17-3.73)
2万3,366例のうち、 18% (23,366例 4183例) に遠隔転移が確認された。
1年累積死亡率
死亡率比:3.48 (95%CI 3.37-3.60)
5年累積死亡率
死亡率比:2.57 (95%CI 2.50-2.63)
癌治療の進歩にもかかわらず、 VTEの有無は癌患者の予後不良と強く関連している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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