【Esophagus】食道・頭頸部の前癌病変は禁酒・節酒で改善
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海外ジャーナルクラブ

4ヶ月前

【Esophagus】食道・頭頸部の前癌病変は禁酒・節酒で改善

【Esophagus】食道・頭頸部の前癌病変は禁酒・節酒で改善
堀氏らは、 内視鏡的切除後の食道扁平上皮癌 (ESCC) 患者を対象に、 継続的な禁酒・節酒が食道および頭頸部の前癌病変である多発性ヨード不染帯異型上皮 (multiple LVL) の改善に及ぼす影響について、 日本食道コホート試験で検討した。 その結果、 禁酒・節酒がヨード不染帯異型上皮 (LVL) を改善し、 異時性食道癌・頭頸部癌の発生を抑制することが明らかになった。 本研究はEsophagusに掲載された。

📘原著論文

Association between continuous cessation or reduction of drinking alcohol and improvement of multiple dysplastic lesions in patients with esophageal squamous cell carcinoma after endoscopic resection. Esophagus. 2023 Dec 9. PMID: 38070099

👨‍⚕HOKUTO監修医コメント

禁酒・減酒群と継続飲酒群の2群に分かれていますが、 実際は禁酒群、 減酒群、 飲酒群の3群です。 このような3群解析の場合に肝となるのは中間である減酒群であり、 今回は飲酒量を半分以上減らせたと自己申告している患者さんです。 この減酒群は飲酒はしているので飲酒群に含めたとすると、 また別の結果になった可能性があります。

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背景

本邦における食道癌および頭頸部癌のほとんどは扁平上皮癌であり、 飲酒と喫煙が明らかな発癌因子とされる。 これらの癌は多発する 「領域癌化現象」 として知られている。 この現象にはmultiple LVLが強く関与し、 さらに飲酒や喫煙がmultiple LVLの発生に関与することが明らかにされている。

研究デザイン

対象

食道扁平上皮癌の内視鏡切除後に病理組織学的に粘膜内癌と診断され、 追加治療を実施しない患者 : 330例

方法

登録時にLVLの程度を調査し、 文書による禁酒・禁煙指導を実施するとともに、 6ヵ月毎の上部消化管内視鏡検査と12ヵ月毎の耳鼻咽喉科診察を継続しながら経過観察を行った。

主要評価項目

食道粘膜におけるLVLの程度の累積改善率、 異時性食道癌および頭頸部癌の発生

研究結果

解析対象

330例のうち、 LVLがない、 または飲酒習慣がない98例を除外した232例。 そのうち68.1%が継続的な禁酒・節酒に成功し、 31.9%が飲酒を継続していた。

食道粘膜におけるLVLの程度の累積改善率

禁酒・節酒した集団は、 飲酒を継続した集団に比べ、 LVLの程度が8.5倍の頻度で改善した。

  • 禁酒・節酒した集団 : 10.8%
  • 飲酒を継続した集団 : 2.7%
p=0.031

その他の多変量解析結果

  • 禁酒・節酒はLVLの程度を改善する独立因子であることが示された。
HR 8.5 (95%CI 1.7-153.8) 、 p=0.0053
  • LVLの悪性度が高いほど、 多発性表在性食道扁平上皮癌 (ESCC) および頭頸部扁平上皮癌 (HNSCC) のリスクが高かった。
HR 3.7 (95%CI 2.2-6.4)、  p<0.0001
  • LVLの改善は、 多発性ESCCおよびHNSCCのリスクを有意に減少させた。
HR 0.2 (95%CI 0.04-0.7) 、 p=0.009

結論

領域癌化現象は可逆的であり、 禁酒・節酒は食道粘膜のLVLの程度を改善し、 異時性食道癌および頭頸部癌の発生を抑制する。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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