HOKUTO編集部
2ヶ月前
化学療法抵抗性の転移性大腸癌 (mCRC)に対する抗VEGFR-2抗体ラムシルマブ+トリフルリジン・チピラシル (FTD/TPI、 以下、 TAS-102) 併用療法の有効性および安全性について、 TAS-102単剤を対照に検証した第Ⅲ相無作為化比較試験IKF-AIO-RAMTASの結果より、 OSの改善は認められなかった。 ドイツ・Essen University HospitalのS.Kasper氏が発表した。
FTDとTPIを配合した経口のヌクレオシド系薬であるTAS-102 (商品名ロンサーフ) は、 化学療法抵抗性のmCRC患者への治療として承認されている¹⁾。
一方、 ラムシルマブは、 抗VEGF抗体ベバシズマブ+フルオロウラシル+レボホリナート+オキサリプラチン (FOLFOX) 併用療法で奏効しないmCRCに対し、 フルオロウラシル+レボホリナート+イリノテカン (FOLFIRI) との併用で承認されている²⁾。
フッカピリミジン系、 オキサリプラチン、 イリノテカン、 血管新生阻害薬、 および抗EGFR抗体に不応または不耐でTAS-102の前治療歴がないECOG PS 0~1の進行mCRC428例を対象とした。
患者は以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けられた。
主要評価項目はITT集団のOSだった。
副次的評価項目には無増悪生存期間 (PFS)、 奏効率 (ORR)、 病勢コントロール率 (DCR)、 安全性、 QoLが設定された。
女性割合はラムシルマブ群が43.7%/TAS-102群が46.5%、 左側腫瘍はそれぞれ70%/64.2%だった。 計62.6%が2回超の前治療を受けていた。
OS中央値はRam+TAS-102群が7.46ヵ月 (95%CI 6.41-8.57ヵ月)、 TAS-102群が7.06ヵ月(同 6.11-8.28ヵ月)、 HR 0.87 (95%CI 0.708-1.073)、 p=0.1941と、 OSに有意差は認められなかった。
またOSサブグループ解析の結果においても、 両群間でOSの有意差は示されなかったが、 「左側型」、 「女性」 のサブグループにおいては、 Ram+TAS-102群で臨床的に意義のある有益性が認められた。
PFS中央値はRam+TAS-102群が2.37ヵ月(95%CI 2.07-2.96ヵ月)、TAS-102群が2.07ヵ月(同 1.97-2.14ヵ月)であり、 両群の生存曲線はおよそ10ヵ月後時点でクロスしていたものの、 両群に有意差を認めた (HR 0.774 [同 0.636-0.949]、 p=0.0110)。
PFSサブグループ解析では事前に規定されたほぼ全てのサブグループにおいて、Ram+TAS-102群のTAS-102群に対する優位性が一貫して認められた。
ORRは両群いずれも1.9%だった (p=1.0)。
DCRはRam+TAS-102群が39.4%で、 TAS-102群の31.6%に比べて高かった (p=0.0336)。
治療関連有害事象 (TRAE) の発現率は以下の通りで、 安全性は管理可能であった。
また、 TAS-102の用量調整がRam+TAS-102群の40.8%、 TAS-102群の24.2%で実施された(p=0.0003)。
EOTRC QLQ-C30とEQ-5D-5Lを用いて評価されたベースライン、 4/8/12週間後の患者QOLは全期間を通して両群とも同等の結果だった。
Kasper氏は 「進行mCRCにおけるラムシルマブ+TAS-102併用療法は、 TAS-102単剤療法と比較しOSを改善しなかったが、 女性および左側型の症例では改善が認められた。 また、 DCRおよびPFSが有意に高かった。 本試験の結果は、 複数ラインの標準治療が無効であったmCRCにおける治療決定の個別化を支持するものである」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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