海外ジャーナルクラブ
1年前
Martinoらは、 中等症および重症の急性胆道原性膵炎 (acute biliary pancreatitis:ABP) 患者を対象に、 早期胆嚢摘出術 (early cholecystectomy:EC) の転帰を後ろ向きコホート研究で検討した。 その結果、 EC群では待機的胆嚢摘出術 (delayed cholecystectomy:DC) 群と比較して、死亡率および合併症発生率が高く、 中等症および重症のABP患者においては慎重な検討が必要であることが示唆された。 本研究はJAMA Surg誌において発表された。
早期vs.後期の介入の観察研究では、 後期群はそれまで生存していたことが大前提となるので、 死亡biasの調整が重要となります。
中等症および重症のABP患者の胆嚢摘出タイミングに関しては意見が分かれている。
ABPで入院し胆嚢摘出術を受けた患者:3,696例 (うち1,202例にECを実施した)
EC (入院14日以内の摘出術と定義) と、 待機的胆嚢摘出術 (delayed cholecystectomy:DC) とを比較
死亡と術後合併症
全体として、 EC群はDC群に比べて、 術後の死亡 (1.4% vs 0.1%、 p<0.001) および合併症 (7.7% vs 3.7%、 p<0.001) のリスクが高かった。
中等症および重症のABP患者でECを行った場合、 死亡率 (OR 361.46、 95%CI 2.28-57 212.31、 p=0.02) および合併症発生率 (OR 2.64、 95%CI 1.35-5.19、 p=0.005) が顕著に増加した。
中等度および重度ABPのEC群は、 軽度ABPのEC群と比較し、 以下のリスクの増加と関連していた。
死亡率
p<0.001
合併症
p<0.001
胆汁漏
p=0.02
感染症
p<0.001
中等度および重度ABPのEC群は、 中等症および重症のABPのDC患者とし、 以下のリスクの増加と関連していた。
死亡率
p<0.001
合併症
p<0.001
感染症
p<0.001
中等症および重症のABP患者に対するECの施行は、 術後の死亡率および合併症のリスク増加と関連していたことから、 中等症および重症のABP患者ではECの適用を慎重に検討する必要がある。 ABPに関連した重篤な合併症を示す高齢で脆弱な患者は、 ECを考慮すべきではない。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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