HOKUTO編集部
11ヶ月前
2023年12月9~12日に米国・サンディエゴで開催された米国血液学会 (ASH 2023) について、 4回に渡り注目トピックスを紹介します。
第3回は、引き続き藤先生に、 末梢性T細胞リンパ腫 (PTCL) に関する注目演題4題についてご解説いただきました。
valemetostat単剤療法が再発/難治性PTCLに有効
EZH1/2阻害薬valemetostatのPTCLにおける第Ⅱ相国際共同試験VALENTINE-PTCL01の結果報告です。
完全奏効 (CR) 率はそこまで高くないものの、 奏効率 (ORR) は単剤としては十分に高値を示しており、 特に血管免疫芽細胞性T細胞リンパ腫 (AITL) ではORRが高い傾向が示されました。 本試験には日本も参加しており、 今後本邦での適応拡大が期待されます。
golidocitinibで再発/難治性PTCLのORRが改善
JAK1選択的阻害薬golidocitinibの再発/難治性PTCLにおける第Ⅱ相多国籍ピボタル試験JACKPOT8の結果報告です。
本セッションではvalemetostatや、 他剤における新規の標的療法の報告もあり、 なかでも今回の研究にあるJAK-STAT経路の阻害薬は、 1つ開発が進んでいる領域になります。 ただし、 どの薬剤も血液毒性には注意を要します。 最近はこのような中国からの新薬開発の報告も多数見受けられます。
linperlisibは再発/難治性PTCLの治療選択に有望
選択的PI3Kデルタ阻害薬linperlisibの再発/難治性PTCLにおける第Ⅱ相多施設共同非盲検試験の結果報告です。
中国では、 同薬は同疾患に対する適応の承認が既に得られているとのことでした。 PI3Kを標的とした薬剤は総じて、 毒性のマネジメントが課題となりますが、 本報告では毒性の面で既存のPI3Kデルタ阻害薬よりも低いのではないかという点が強調されていました。 今後欧米でも開発が進むということで、 その結果を期待します。
イサツキシマブ+セミプリマブ、 再発・難治性ENKTLのCR改善
再発/難治性の節外NK/T細胞リンパ腫 (ENKTL) に対する抗CD38抗体イサツキシマブ+抗PD-1抗体セミプリマブにおける新規治療の開発として関心が持たれた研究です。
一定の奏効を認めており期待できる結果ではあるものの、 PD-1を標的とした治療単独でも、 ある程度奏効が得られることは以前報告されています。 今回の結果は既報よりも良好と見受けられますが、 抗CD38抗体の上乗せ効果がどの程度あるのかについては今後の検証が必要といえます。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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