海外ジャーナルクラブ
2年前
Sarrajらは、 広範囲に及ぶ脳梗塞患者を対象に、 発症後24時間以内の血管内血栓除去術の有効性を前向き無作為化非盲検適応国際共同試験で検討 (SELECT2試験)。 その結果、 血管内血栓除去術は内科的治療より良好な機能予後を示したが、 血管合併症を伴った。 本研究は、 NEJM誌において発表された。
Yoshimura NEJM 2022の有効性について、 Alteplaseのdoseが少ないこと、 日本人のみの結果での懸念がありましたが、 本研究で証明されたといえると思います。 広範囲脳梗塞に対する介入でも、 当初から懸念されていた出血、 脳浮腫、 死亡が内科的治療群と同程度であったことは大変重要な結果です。
広範囲に及ぶ脳梗塞患者に対する血管内血栓除去術の有効性と安全性を検討した試験は、 限られた集団で実施されたものである。
内頸動脈または中大脳動脈M1セグメント閉塞による脳梗塞患者
Alberta Stroke Program Early Computed Tomography Score:3~5、 または虚血性コア体積が大きい症例 (CTまたは拡散強調MRIでコア体積が50mL以上と定義)
患者は1:1の割合で、 以下の群に割り付け。
血管内血栓除去術+内科的治療:178名
内科的治療のみ:174名
90 日時点のmodified Rankin scale (mRS)スコア
機能的自立度
有効性が確認されたため試験は早期に中止された。
血管内血栓除去術の方が、 mRSスコアの良好な転帰への分布の移動が早く、 その一般化オッズ比は1.51 (95%CI 1.20-1.89、 P<0.001) であった。
血管内血栓除去術群の20%と内科的治療群の7%の患者が機能的自立を得た。
RR 2.97、 95%CI 1.60-5.51
死亡率は両群で同程度であった。
動脈アクセス部位の合併症:5名
解離:10名
脳血管穿孔:7名
一過性血管攣縮:11名
症候性頭蓋内出血は血栓溶解療法群に1名、 内科的治療群に2名発生した。
広範囲に及ぶ脳梗塞患者において、 血管内血栓除去術は内科的治療より良好な機能予後を示したが、 血管合併症を伴った。 脳出血は両群ともまれであった。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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