海外ジャーナルクラブ
4時間前
Stoorvogelらは、外来静注抗菌薬治療 (OPAT) における検査値異常の発生頻度とその予測因子について、 多施設コホート研究で検討した。 その結果、 検査値異常は頻繁に観察されるものの治療中止に至るケースは少なく、 使用された抗菌薬の種類などが検査値異常の発生予測因子となり得る可能性が示された。 本研究はJ Infectにて発表された。
抗菌薬のdoseについてデータが取られていないのはlimitationです。
OPATでは、 多くの患者が治療中に有害事象 (AE) を経験し、 その一部は臨床検査で検出可能な抗菌薬の毒性が要因とされる。 英国および米国では毎週の血液検査が推奨されているものの、 OPAT中の最適な検査頻度に関するエビデンスは不足している。
そこで、 検査値異常の発生頻度と時期、 異常との関連因子を把握するため、 オランダの4病院において多施設コホート研究を実施した。
オランダの4病院でOPAT*を受けた18歳以上の患者1,152例を対象に、 定期検査の結果を収集し、 検査値異常の発生頻度を算出した。
主な評価項目は、 検査値異常の発生率、 時間経過に伴う検査値異常の発生、 各異常の初発までの時間、 検査値異常発生の予測因子などだった。 すべての解析で60日間の追跡調査を実施した。
520例/1,152例 (45.1%) で、 OPAT開始後60日以内に1つ以上の検査値異常が認められた。 ただし、 OPATの中止に至ったのはわずか27例 (2%) であった。
内訳は、 肝毒性が33.9イベント/1,000日で最も多く、 低カリウム血症は1.7イベント/1,000日とまれだった。
検査値異常が最初に現れるまでの時間の中央値は7日で、 低カリウム血症および肝毒性が最も早かった。 肝毒性のハザード率はOPAT開始~10日間が最も高く、 その後時間経過に伴い安定した。
60日以上のOPATを受けた患者のサブグループ解析では、 OPAT開始後0~30日目に比べ、 31~60日目において腎毒性が有意に多く発生した(p=0.047)。
抗菌薬の種類、 併用薬、 ベースラインの検査値、 患者背景などとの間において、 毒性との関連が認められた。
グリコペプチドによるOPATを受けた患者は、 血液毒性の発生リスクが高かった。 また、 フルクロキサシリン、 グリコペプチドおよび利尿薬は腎毒性との関連がみられた。
著者らは 「OPAT中には臨床的検査値異常が半数弱で認められたものの、 治療中止に至るケースはまれであった。 また、 患者背景、 ベースラインの検査値、 治療状況などが検査値異常の発生と関連していた。 今回の結果は、 より個別化された臨床検査モニタリングの方針を推奨するものである」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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