海外ジャーナルクラブ
2ヶ月前
国立がん研究センター消化管内科の設楽紘平 氏らの研究グループは、 Claudin 18.2陽性の切除不能・再発の胃または胃食道接合部腺癌の患者を対象に、 抗Claudin 18.2抗体ゾルベツキシマブ+化学療法の長期の有効性を確認する目的で、 2件の第Ⅲ相試験 (SPOTLIGHT、 GLOW) の統合解析を行った。 その結果、 ゾルベツキシマブ+化学療法により無増悪生存期間 (PFS) および全生存期間 (OS) をいずれも有意に延長することが改めて確認された。 本研究は、 NEJM誌にて発表された。
原著論文ではなく短報 (Correspondence) なので、 その点は注意が必要です。
ゾルベツキシマブと標準的な化学療法の併用療法はSPOTLIGHT、 GLOWのいずれの試験においてもPFSおよびOSの有意な改善を認めた。
しかし、 これらは国際共同試験として実施されたため、 国別に患者登録数に差異があるほか、 化学療法の内容も異なっていた。 そこで今回、 生存結果について、 2件の試験の結果を統合した最終解析が実施された。
SPOTLIGHTまたはGLOWに登録されたClaudin 18.2陽性の切除不能・再発の胃または胃食道接合部腺癌 (G/GEJ癌) 患者1,072例が、 以下の群に無作為に割り付けられた。
主要評価項目としてPFS、 副次評価項目としてOS、 客観的奏効率 (ORR)、 奏効期間 (DOR)、 安全性、 患者報告アウトカムなどが設定された。
PFS中央値はゾルベツキシマブ併用群では9.2ヵ月で、 プラセボ群の8.2ヵ月に対し、 増悪・死亡リスクを29%低減した(HR 0.71、 95%CI 0.61-0.83)。
OS中央値はゾルベツキシマブ併用群で16.4ヵ月で、 プラセボ群の13.7ヵ月に比して死亡リスクを23%低減した (HR 0.77、 95%CI 0.67-0.89)
サブグループ解析では一貫した生存延長効果が確認され、 2件の試験のそれぞれにおいても生存延長効果が確認された (SPOTLIGHT試験のOS中央値 : 18.2ヵ月 vs 15.6ヵ月、 GLOW試験 : 14.4ヵ月 vs 12.2ヵ月)。 一方、 腫瘍縮小効果については両群で大きな差を認めなかった。
最も頻度の高い有害事象は悪心 (ゾルベツキシマブ併用群76.0%、 プラセボ群56.2%)、 嘔吐 (ゾルベツキシマブ併用群66.8%、 プラセボ群34.2%) であり、 新たな安全性における懸念は認められなかった。 これらの有害事象は初回投与時に多く、 その後は頻度が減少することが両試験で確認されている。
著者らは、 「Claudin 18.2陽性の切除不能・再発の胃または胃食道接合部腺癌患者において、 ゾルベツキシマブ+化学療法は、 PFSおよびOSを延長することが改めて確認された。 ゾルベツキシマブ+化学療法は標準治療の選択肢として支持される」 と報告している。
CPS 5以上かつCLDN18.2陽性進行胃癌の1次治療の選択は?
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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