海外ジャーナルクラブ
2年前
Riceらは、 Framingham Heart Studyに登録されている飲酒者2629名を対象に、 非大量飲酒と慢性肝疾患の関係を横断研究で検討。 その結果、 非大量飲酒が線維化およびNASHと関連することが明らかとなった。 本研究は、 Clin Gastroenterol Hepatol誌において発表された。
Nonheavy Alcohol Use Associates With Liver Fibrosis and Nonalcoholic Steatohepatitis in the Framingham Heart Study. Clin Gastroenterol Hepatol. 2022 Dec 8;S1542-3565(22)01125-9. PMID: 36503167
アルコール関連の研究においてはどうしても質問票による検討では真を捉えづらい感があるように思います。 非大量飲酒群の中に真の非大量飲酒群と大量飲酒している非大量飲酒申告者群が混在しているように思います。 結論にあるように今後の前向き研究が必要です。
アルコールの大量摂取は一貫して肝疾患と関連するが、 非大量飲酒の影響はあまり理解されていない。
Framingham Heart Studyの現飲酒者:2629名
アルコール使用に関する質問票と一過性エラストグラフィーを実施。
線維化:肝硬度測定 (LSM) ≧8.2kPa
リスクのあるNASH: FASTスコア0.35以上 (感度90%) または0.67以上 (特異度90%)
社会背景因子および代謝性因子を調整し、 アルコール使用指標と線維化およびNASHとの関連を調べるためにロジスティック回帰を実施。
参加者は週に6.2 ± 7.4杯の飲酒をした。
週当たりの総飲酒量と飲酒頻度は、 線維化のオッズの増加と関連していた。
17.4%に認められた週1回の危険な飲酒が確認され、 線維化との関連がみられた。
158名の大量飲酒者を除外したサブグループ解析においても、 週当たりの総飲酒量は線維化と関連していた。
複数のアルコール使用尺度は、 FAST >0.35と正の相関を示した。
代謝的因子で調整した後、 非大量飲酒も線維化およびNASHと関連することが実証された。 肝臓関連の罹患率および死亡率を減少させるために、 アルコール使用を控えめにすることの利点を明らかにするために、 縦断的研究が必要である。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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