海外ジャーナルクラブ
2年前
Sugawaraらは、 多剤併用術前補助化学療法 (NAC) 後に外科的切除を受けた膵管腺癌 (PDAC) 患者を対象に、 術後補助化学療法 (AC) と全生存期間 (OS) の関連を後ろ向きマッチドコホート研究で検討。 その結果、 ACを行った患者は、 そうでない患者に比べ、 有意に生存率が向上した。 本研究は、 JAMA Oncol誌において発表された。
Limitationにも書かれていますが、 術後90日以内の死亡は対象から除外されているようです。 日本人研究者による日常診療のプラクティスをアカデミアできちんと結果として示した素晴らしい研究です。
PDAC患者において、 NACを受ける患者の総数は増加しつつある。 しかし、 これらの患者におけるACの付加的な効果は不明なままである。
多剤併用NACの投与後に外科的切除を受け、 病理所見の記録が入手可能な18歳以上の患者。
National Cancer Database
対象患者はすべてNACを受け、 原発性PDACの切除術を受けた。 また、 一部の患者は術後補助化学療法を受けた。
AC群と非AC群のOS。 病理所見とACの相互作用は、 個別の多変量Cox回帰モデルで検討された。
非AC群:640名 AC群:492名
人口統計学的および病理学的特徴に従って傾向スコアでマッチングさせた後、 各群に444人が残った。
すべての共変量で調整した多変量Cox回帰モデルにより、 ACとOS改善との関連が明らかになった (P<0.001) 。
サブグループでの相互作用解析では、 ACはOSの改善と有意に関連していたが (26.6カ月 vs 21.2カ月、 P=0.002)、 その有益性は年齢、 病理学的T分類、 および腫瘍分化度によって異なっていた。
病理学的N分類でリンパ節転移が認められた患者および断端陽性の患者においても、 AC群の方がOSの改善と関連していた。
このコホート研究において、 PDAC患者における多剤併用NACおよび外科切除後のACは、 非AC群と比較して、 有意なOSの改善と関連した。 これらの知見は、 進行性腫瘍の患者は、 多剤併用NACおよび根治手術後でさえ、 OS延長を達成するためにACが有益であることを示唆している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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