海外ジャーナルクラブ
9ヶ月前

Ignatiadisらは、 再発リスクの高いトリプルネガティブ乳癌 (TNBC) 患者を対象に、 術後化学療法にアテゾリズマブを追加することの有効性を第III相無作為化比較試験ALEXANDRA / IMpassion030で検討した。 その結果、 アテゾリズマブ追加による有効性の改善は認められなかったことが明らかとなった。 試験結果はJAMA誌に発表された。
本試験は早期中止され、 追跡期間が短縮されたため、 長期的な安全性や遅発性の有害事象が捉えられない可能性がlimitationに挙げられています。
近年、 TNBCの標準治療として周術期化学療法が広く実施されてきたが、 術後に免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) を追加する意義は明らかになっていなかった。
同試験では、 術後化学療法にアテゾリズマブを追加することで、 浸潤性無病生存期間 (iDFS) が改善するかどうかが検討された。
同試験は国際多施設共同試験で、 31ヶ国330施設で実施された。
II期またはIII期のTNBC患者を対象に、 術後の標準化学療法にアテゾリズマブ併用群1,101例と 化学療法単独群1,098例に割り付け、 最長1年間、治療した。
主要評価項目では浸潤性無病生存期間 (iDFS) を、 副次評価項目では全生存期間 (OS)、 安全性を評価した。
予定割付2,300例のうち、 2,199例の割付時点で独立データモニタリング委員会が試験中止を勧告した。
中央値32ヵ月の追跡期間で、 iDFSイベント発生率はアテゾリズマブ併用群が12.8%、 化学療法単独群が11.4%であり、 アテゾリズマブ追加によるiDFSの有意な改善は認められなかった (層別HR 1.11 [95%CI 0.87-1.42]、 p=0.38)。
安全性評価では、 Grade 3または4の治療関連有害事象の発現率がアテゾリズマブ併用群が54%、 化学療法単独群が44%と、 アテゾリズマブ併用群に多く認められた。
一方で、 致命的有害事象の発生率や化学療法の中断率は両群で差がなかった。
著者らは、 「再発リスクの高いTNBC患者で、 術後化学療法にアテゾリズマブを追加しても臨床的利益は得られなかった」と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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