海外ジャーナルクラブ
1年前
Iwaiらは、 進行非小細胞肺癌 (NSCLC) の患者を対象に、 プラチナ製剤を含む化学療法と免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) の併用療法における血栓塞栓症のリスクをコホート研究で検討。 その結果、 プラチナ製剤を含む化学療法とICIの併用療法により静脈血栓塞栓症 (VTE) のリスクが増加したが、 動脈血栓塞栓症 (ATE) のリスクについては増加しなかった。 本研究は、 Cancer Immunol Immunother誌において発表された。
DPCデータの解析ですが、 DPCデータは核心となるデータが不足していることが多く、 クリアーな解析結果に反してその結果の解釈(実臨床への応用) に戸惑うことが多いのが実情です。
進行NSCLC患者に対するプラチナ製剤を含む化学療法は一般的であるが、 ICIの追加が血栓塞栓症のリスクにどのように影響するかは、 これまで不明であった。
2010年7月~2021年3月にプラチナ製剤を含む化学療法を開始した進行NSCLC患者:7万5,807例
患者を以下の群に分けて解析を行った。
化学療法開始後6カ月以内の静脈血栓塞栓症 (VTE) および動脈血栓塞栓症 (ATE) の発生率、 院内死亡の発生率
傾向スコアオーバーラップ重み付け法による解析の結果、 ICI併用群は単独群と比較し、 VTEリスクが高かった(部分分布ハザード比[SHR]1.27、 95%CI 1.01-1.60)一方で、 ATEリスクについては有意差が見られなかった (SHR 0.96、 95%CI 0.67-1.36)。
院内死亡リスクについてはICI併用群の方が有意に低かった (HR 0.68、 95%CI 0.62-0.74)。
プラチナ製剤を含む化学療法にICIを併用することで、 VTEのリスクが高まる可能性が示唆された。 一方、 ATEのリスクについては変動しなかった。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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