【NEJM】3クラス薬剤抵抗性多発性骨髄腫へのBiTE2剤併用で持続的奏効
著者

海外ジャーナルクラブ

16日前

【NEJM】3クラス薬剤抵抗性多発性骨髄腫へのBiTE2剤併用で持続的奏効

【NEJM】3クラス薬剤抵抗性多発性骨髄腫へのBiTE2剤併用で持続的奏効
Cohenらは、 再発または難治性の多発性骨髄腫 (MM) を対象に、 Gタンパク共役型受容体ファミリーCグループ5メンバーD (GPRC5D) / CD3を標的とする二重特異性抗体トアルクエタマブと、 B細胞成熟抗原 (BCMA) / CD3二重特異性抗体テクリスタマブ併用療法の有効性および安全性について第Ⅰb/Ⅱ相試験RedirecTT-1で検討した。 その結果、 トアルクエタマブ0.8mg/kg+テクリスタマブ3.0mg/kgの隔週投与により持続的奏効が認められた。 本研究はNEJMにおいて発表された。 

📘原著論文

Talquetamab plus Teclistamab in Relapsed or Refractory Multiple Myeloma. N Engl J Med. 2025 Jan 9;392(2):138-149. PMID: 39778168.

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

本レジメンで用いられる2剤については、 本邦においても承認申請が行われています。 なお、 本論文のlimitationについては、①フォローアップ期間が短い、 ②サンプルサイズ少ない、 ③黒人患者が少ない、 ④正式な仮説検定なし、 ⑤非盲検化、 ⑥非ランダム化など、 端的にまとめて挙げられています。

🔢関連コンテンツ

ISS R-ISS R2-ISS

多発性骨髄腫の病期分類

SLiM-CRAB

多発性骨髄腫の診断基準

治療効果判定規準

sCR、 CR、 VGPR、 PR、 MR、 SD、 PD

背景

新たなBiTE2剤の併用療法は有益か?

トアルクエタマブとテクリスタマブはいずれも、 CD3を標的化することでT細胞を活性化する二重特異性抗体 (BiTE) であり、 3クラス*抵抗性MMの治療薬として開発された。

*プロテアソーム阻害薬、 免疫調整薬、 抗CD38抗体

研究デザイン

再発・難治MMに対し、 トアルクエタマブ+テクリスタマブの安全性と毒性を評価

再発または難治性のMM94例を対象に、 第Ⅰ相では用量漸増試験として5種の用量が検討された。 その結果として、 トアルクエタマブ0.8 mg/kg+テクリスタマブ3.0 mg/kgを2週ごとに投与する治療レジメンが第Ⅱ相試験での推奨レジメンに選択され、 3クラス抵抗性MM 44例に使用された。

主な評価項目は有害事象 (AE) および用量制限毒性だった。

結果

用量制限毒性は3例、 Grade3/4の感染症が64%発生

追跡期間中央値20.3ヵ月において、 用量制限毒性は3例に発生した。 うち1例は、 第Ⅱ相試験で推奨された治療レジメンが使用された1例に発生したGrade4の血小板減少症だった。

5種の用量全体において、 特に高頻度に認められた有害事象は以下の通りだった。

  • サイトカイン放出症候群
  • 好中球減少症
  • 味覚変化
  • 皮疹以外の皮膚障害

Grade3/4の有害事象発現率は96%であり、 大部分が血液学的事象だった。 また患者の64%にGrade3/4の感染症が認められた。

第Ⅱ相推奨レジメンによる奏効率は80%

第Ⅱ相試験に推奨された治療レジメンでは、 奏効率は80%に認められ、 5種の用量全体では78%であった。 18ヵ月時点で奏効が持続している患者の割合は、 第Ⅱ相試験に推奨された治療レジメンで86%、 5種の用量全体では77%であった。

結論

感染症リスクは増加も高い奏効割合

著者らは 「トアルクエタマブ+テクリスタマブ併用療法において、 Grade3/4の感染症発生率は、 各薬剤の単剤療法で報告されている感染症発生率よりも高かった。 また全ての投与量レベルにおいて高い奏効が認められ、 特に第Ⅱ相に推奨された治療レジメンでは持続的奏効が認められた」 と報告した。


※X (旧Twitter) の利用規約に基づき、 サブライセンスが認められている埋め込み形式でポストを紹介しています。 掲載停止のご希望がある場合は、 XのHOKUTO公式アカウント (@HOKUTOmed) までDMでご連絡をお願いします。

ポストのGif画像
【NEJM】3クラス薬剤抵抗性多発性骨髄腫へのBiTE2剤併用で持続的奏効の全コンテンツは、医師会員限定でアプリからご利用いただけます*。
*一部のコンテンツは非医師会員もご利用いただけます
臨床支援アプリHOKUTOをダウンロードしてご覧ください。
今すぐ無料ダウンロード!
こちらの記事の監修医師
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
QRコードから
アプリを
ダウンロード!
【NEJM】3クラス薬剤抵抗性多発性骨髄腫へのBiTE2剤併用で持続的奏効