海外ジャーナルクラブ
16日前
Cohenらは、 再発または難治性の多発性骨髄腫 (MM) を対象に、 Gタンパク共役型受容体ファミリーCグループ5メンバーD (GPRC5D) / CD3を標的とする二重特異性抗体トアルクエタマブと、 B細胞成熟抗原 (BCMA) / CD3二重特異性抗体テクリスタマブ併用療法の有効性および安全性について第Ⅰb/Ⅱ相試験RedirecTT-1で検討した。 その結果、 トアルクエタマブ0.8mg/kg+テクリスタマブ3.0mg/kgの隔週投与により持続的奏効が認められた。 本研究はNEJMにおいて発表された。
本レジメンで用いられる2剤については、 本邦においても承認申請が行われています。 なお、 本論文のlimitationについては、①フォローアップ期間が短い、 ②サンプルサイズ少ない、 ③黒人患者が少ない、 ④正式な仮説検定なし、 ⑤非盲検化、 ⑥非ランダム化など、 端的にまとめて挙げられています。
トアルクエタマブとテクリスタマブはいずれも、 CD3を標的化することでT細胞を活性化する二重特異性抗体 (BiTE) であり、 3クラス*抵抗性MMの治療薬として開発された。
再発または難治性のMM94例を対象に、 第Ⅰ相では用量漸増試験として5種の用量が検討された。 その結果として、 トアルクエタマブ0.8 mg/kg+テクリスタマブ3.0 mg/kgを2週ごとに投与する治療レジメンが第Ⅱ相試験での推奨レジメンに選択され、 3クラス抵抗性MM 44例に使用された。
主な評価項目は有害事象 (AE) および用量制限毒性だった。
追跡期間中央値20.3ヵ月において、 用量制限毒性は3例に発生した。 うち1例は、 第Ⅱ相試験で推奨された治療レジメンが使用された1例に発生したGrade4の血小板減少症だった。
5種の用量全体において、 特に高頻度に認められた有害事象は以下の通りだった。
Grade3/4の有害事象発現率は96%であり、 大部分が血液学的事象だった。 また患者の64%にGrade3/4の感染症が認められた。
第Ⅱ相試験に推奨された治療レジメンでは、 奏効率は80%に認められ、 5種の用量全体では78%であった。 18ヵ月時点で奏効が持続している患者の割合は、 第Ⅱ相試験に推奨された治療レジメンで86%、 5種の用量全体では77%であった。
著者らは 「トアルクエタマブ+テクリスタマブ併用療法において、 Grade3/4の感染症発生率は、 各薬剤の単剤療法で報告されている感染症発生率よりも高かった。 また全ての投与量レベルにおいて高い奏効が認められ、 特に第Ⅱ相に推奨された治療レジメンでは持続的奏効が認められた」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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