【Lancet Oncol】T-DXdがHER2過剰発現NSCLCに有望 : DESTINY-Lung01
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7ヶ月前

【Lancet Oncol】T-DXdがHER2過剰発現NSCLCに有望 : DESTINY-Lung01

【Lancet Oncol】T-DXdがHER2過剰発現NSCLCに有望 : DESTINY-Lung01
SmitらはHER2過剰発現の非小細胞肺癌 (NSCLC) を対象に、 抗体薬物複合体トラスツズマブ デルクステカン (T-DXd) の抗腫瘍活性と安全性について第Ⅱ相多施設共同非盲検試験 (DESTINY-Lung01) で検討。 その結果、 HER2過剰発現NSCLCにおいて、 T-DXdが新たな治療選択肢となり得ることが示唆された。 この研究はLancet Oncolに発表された。 

📘原著論文

Trastuzumab deruxtecan in patients with metastatic non-small-cell lung cancer (DESTINY-Lung01): primary results of the HER2-overexpressing cohorts from a single-arm, phase 2 trial. Lancet Oncol. 2024 Apr;25(4):439-454. PMID: 38547891

👨‍⚕HOKUTO監修医コメント

49例と少ない患者数ですが、 それを利用して全患者を1つの図として図2のA、 Bで綺麗に表しており、 参考になります。

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T-DXd

エンハーツ®︎| NSCLC (遺伝子変異/転座+) > HER2遺伝子変異陽性
【Lancet Oncol】T-DXdがHER2過剰発現NSCLCに有望 : DESTINY-Lung01

肺癌領域初の抗体薬物複合体 「T-DXd」

【注目キーワード】専門医が解説

ドライバー遺伝子変異/転座陽性NSCLCの治療

肺癌診療ガイドライン2023年版 他 | NSCLC

DESTINY‐Lung01の主要解析

DESTINY-Lung01では、 HER2過剰発現またはHER2変異のある切除不能または転移性NSCLC患者を対象として、 T-DXdの抗腫瘍活性と安全性について評価した。 HER変異コホート (コホート2) の結果は報告済みであり、 今回はHER2過剰発現NSCLC患者のコホート (コホート1) を対象とした主要解析の結果を報告する。

6.4mg/kg群 vs 5.4mg/kg群で比較

対象

18歳以上の切除不能または転移性の非扁平上皮NSCLC患者 : 90例

  • 標準治療後に再発または標準治療に抵抗性
  • HER2過剰発現で既知のHER2遺伝子変異なし
HER2過剰発現 : 免疫組織化学 (IHC) スコア 2+または3+

介入

患者を以下の群に1 : 1の割合で割り付けた。

  • T-DXd 6.4mg/kg群 : 49例
  • T-DXd 5.4mg/kg群 : 41例
いずれの群も3週間ごとに点滴静注

主要評価項目

  • 奏効率 (ORR)

副次評価項目

  • 奏効期間 (DOR)
  • 無増悪生存期間 (PFS)
  • 全生存期間 (OS)

5.4mg/kg群のORRは 34.1%

治療期間中央値

データカットオフ時点
  • 6.4mg/kg群 : 4.1ヵ月間 [四分位範囲 (IQR) : 1.4-7.1ヵ月間]
  • 5.4mg/kg群 : 5.5ヵ月間 (同1.4-8.7ヵ月間)

追跡期間中央値

データカットオフ時点
  • 6.4mg/kg群 : 12.0ヵ月間 (IQR : 5.4-22.4ヵ月間)
  • 5.4mg/kg群 : 10.6ヵ月間 (同4.5-13.5ヵ月間)

有効性評価

主要評価項目

ORR

  • 6.4mg/kg群 : 26.5%
CR : 0例、 PR : 13例
  • 5.4mg/kg群 : 34.1%
CR: 2例、 PR: 12例

副次評価項目

DOR中央値

  • 6.4mg/kg群 : 5.8ヵ月
  • 5.4mg/kg群 : 6.2ヵ月

PFS中央値

  • 6.4mg/kg群 : 5.7ヵ月
  • 5.4mg/kg群 : 6.7ヵ月

OS中央値

  • 6.4mg/kg群 : 12.4ヵ月
  • 5.4mg/kg群 : 11.2ヵ月

安全性評価

最も多く認められたGrade 3以上の有害事象

好中球減少症

  • 6.4mg/kg群 : 24%
  • 5.4mg/kg群 : 発現なし

肺炎

  • 6.4mg/kg群 : 12%
  • 5.4mg/kg群 : 5%

疲労

  • 6.4mg/kg群 : 12%
  • 5.4mg/kg群 : 7%

病勢進行

  • 6.4mg/kg群 : 12%
  • 5.4mg/kg群 : 10%

治療関連のGrade3以上の有害事象発現率

  • 6.4mg/kg群 : 53%
  • 5.4mg/kg群 : 22%

治療関連の重篤な有害事象の発現率

  • 6.4mg/kg群 : 20%
  • 5.4mg/kg群 : 7%

死亡に至った有害事象

  • 6.4mg/kg群 : 10例 (病勢進行6例など)
  • 5.4mg/kg群 : 7例 (病勢進行4例など)
6.4mg/kg群の1例 (肺臓炎) は被験薬によるものと判定

T-DXdが医療ニーズを満たす可能性

著者らは 「既存の治療選択肢の抗腫瘍活性が低いことを考慮すると、 T-DXdはHER2過剰発現NSCLCのアンメットニーズを満たす可能性がある」 と述べている。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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