HOKUTO編集部
2ヶ月前
2024年4月に『関節リウマチ診療ガイドライン2024』が発表されました。 2024年版の薬物治療は、 基本的に前版を踏襲するものとなりましたが、ガイドライン改訂に向けたメタ解析¹⁾の結果を受け、 いくつかの変更・追加が行われました。 以下に内容をまとめましたので、 ぜひ参考にしてください。
▼HOKUTO協力医の解説¹⁾
メトトレキサート (MTX) 皮下注製剤が2022年に保険収載されたことを受けて、 今回の改訂ではMTX皮下注が新たに追加されました。 アルゴリズム上では経口か皮下注かの区別はなく、 いずれの剤型でも選択可能です。
▼メタ解析のエビデンス²⁾
MTXで未治療の関節リウマチ患者において、 MTXの皮下注射は経口投与と同等の有効性を示した。
▼HOKUTO協力医の解説¹⁾
2024年版では保険未収載のままでありながら生物学的製剤の中にリツキシマブ (RTX)も新規に追加され、 国内外での足並みが揃うこととなりました。
ただし、保険適用外であること、 国内におけるエビデンスが不足していることなどから他の生物製剤を優先して使用することが望ましく、 RTXはリンパ増殖疾患合併症例や作用機序の異なる複数の抗リウマチ薬 (DMARDs) に不応である場合に限定して使用することが推奨されています。
▼メタ解析のエビデンス²⁾
リツキシマブは、 従来型合成抗リウマチ薬 (csDMARDs) と併用した場合あるいは併用しない場合のいずれにおいても、 生物学的製剤 (bDMARDs) で効果不十分の患者において、 そのほかのbDMARDsと同等の有効性を示した。
▼HOKUTO協力医の解説¹⁾
JAK阻害薬の有効性および安全性について、 臨床研究およびわが国における市販後調査 (PMS) データから分析した結果、 フェーズⅡでは短期的 (1年まで) の治療であればbDMARDと少なくとも同等の有効性が期待できるとされました。
一方で、長期安全性データがbDMARDと比べ乏しい、 安全性の議論が国内外でいまだ続いている、 という状況に鑑みて、 フェーズⅡにおける 「長期安全性、 医療経済の観点からbDMARDを優先する」 という文言は前版から引き継がれました。
▼メタ解析のエビデンス²⁾
JAK阻害薬とMTXの併用は、 MTXで効果不十分の患者において、 TNF阻害薬と同等の有効性と安全性を4年間にわたり示した。
▼HOKUTO協力医の解説¹⁾
医療費の高騰に対する患者および医療保険財政の負担軽減のため、 関節リウマチに対してもさまざまなバイオ後発品が開発されています。
この流れを受けて2024年版では、 新たにバイオ後発品に関する推奨が加わり、 既存治療で効果不十分で中等度以上の疾患活動性を有する関節リウマチ患者において、 先行バイオ医薬品と同等に推奨されることとなりました。
▼メタ解析のエビデンス²⁾
バイオシミラーは、 csDMARDおよびbDMARDで効果不十分の患者において、 オリジナルのbDMARDsと同等の有効性を示した。
高齢者・妊娠授乳期における診療のポイント、 小児~成人期の若年特発性関節炎マネジメントについてはぜひ下記のコンテンツをご参照ください。
mTSS (modified Total Sharp Score)
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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