海外ジャーナルクラブ
2ヶ月前
Sangroらは、 肝動脈塞栓療法 (TACE) が適応となる切除不能な肝細胞癌 (HCC) を対象に、 抗PD-L1抗体デュルバルマブ (D) +TACE併用後のD単剤療法またはD+抗VEGF抗体ベバシズマブ (B) 併用療法の有効性・安全性について、 第Ⅲ相多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験EMERALD-1で検証した。 その結果、 TACEとD+Bの併用療法でPFSが有意に改善した。 本研究はLancetで発表された。
Overall survivalの結果が気になるところです。
【EMERALD-1】TACE適応の肝細胞癌、 TACE+デュルバルマブ+ベバシズマブでPFS改善
TACEは、 切除不能HCCに対する標準治療であるが、 無増悪生存期間 (PFS) は約7ヵ月に留まることから、 より効果的な治療法の開発が課題とされている。 本研究では、 TACEへのデュルバルマブ追加の有効性と安全性を検証した。
ECOG PS 0/1、 かつ測定可能な肝内病変を少なくとも1つ以上有する18歳以上のTACE適応切除不能HCC患者616例が、 以下の3群に1:1:1で無作為に割り付けられた。 層別化因子はTACEの方法、 部位、 門脈浸潤だった。
主要評価項目は盲検下独立中央審査 (BICR) RECIST 1.1基準に基づくD+B群 vs プラセボ単独群のPFSだった。 主な副次評価項目はD+プラセボ群 vs プラセボ単独群のPFS、 安全性などであった*。
各群のPFS中央値は以下の通りであった。
D+B群 vs プラセボ単独群のHRは0.77 (95%CI 0.61-0.98、 p=0.032) であり、 D+B群で有意に改善した。
一方、 D+プラセボ群 vs プラセボ単独群のHRは0.94 (同 0.75-1.19、 p=0.64) と、 両群間に有意差は認められなかった。
最も一般的なGrade3/4の有害事象 (AE) としては、 D+B群では高血圧 (6%)、 D+プラセボ群では貧血 (4%)、 プラセボ単独群では塞栓後症候群 (4%) が報告された。 死亡に至った治療関連有害事象 (TRAE) 発現率は、 それぞれ群0.5%、 1%、 2%であった。
著者らは 「切除不能なHCCに対し、 デュルバルマブ+ベバシズマブ+TACE併用療法が新たな標準治療となる可能性が示唆された。 OSおよび患者報告アウトカムの詳細な解析により、 本治療法の臨床的有用性が一層明らかになることが期待できる」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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