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1年前
今注目の免疫関連有害事象について各専門医の方々に解説いただきます。 さらなる機能改善のため、内容についてご要望がございましたらぜひコメント下さい。 それでは、「サイトカイン放出症候群」を御覧ください。
サイトカイン放出症候群 (CRS) による心血管イベントの発症は致死的経過をたどるリスクがあるため、 免疫療法開始前にベースラインでの心臓の機能評価を行っておく。
心疾患の既往がある場合には、 循環器内科医へのコンサルトを考慮する。
CRSは『免疫療法によってT細胞や他の免疫エフェクター細胞が活性化したり関与したりすることで引き起こされる症候群』と米国移植細胞治療学会 (ASTCT) によって定義されている¹⁾。 CAR-T療法や二重特異性抗体療法で発症が報告されている。
38℃以上の発熱、 低血圧、 頻脈、 低酸素血症、 悪寒など。
重症例は、 低血圧、 低酸素の他、 心房細動、 心室性頻拍、 心停止、 心不全、 腎不全、 毛細血管漏出症候群 (capillary leak syndrome) など。
心臓、肝臓、腎臓の機能障害に陥ることがある
CAR-T療法*
CRSの発症頻度が高く、 急速に進行し、 致死的になりうるため、 注意を要する。 重症例では呼吸循環管理を含めた緊急介入が求められる。
免疫チェックポイント阻害薬 (ICI)
CRSの発症は稀であり軽症にとどまることがほとんど²⁾³⁾。 適切な管理については明らかにはされていないが、 CAR-T療法におけるCRS発症時の対応に準じることが望ましい。
CAR-T療法では多くの場合投与翌日から14日目までに発症。 ICIの場合不明な点が多い。
典型例:投与2~3日後に発症し、 7~8日持続
抗IL-6受容体抗体薬 (トシリズマブ) と全身性ステロイドと支持療法である。
改めて感染症がないかスクリーニングを行う。 ルキソリチニブ (JAK阻害薬)、 シクロフォスファミド、 IVIG、 抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン (ATG)、 持続的腎代替療法による体外式サイトカイン吸着法などの報告例はあるが、 臨床的意義は確立されていないため、 投与にあたっては慎重に検討する。
最終更新:2023年2月1日
監修医師:
公益財団法人がん研究会 有明病院先端医療開発科 宮脇英里子先生
公益財団法人がん研究会 有明病院先端医療開発科部長 北野滋久先生
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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