海外ジャーナルクラブ
2年前
Zsirosらは、 外科手術を行った患者を対象に、 オピオイドの短期処方による術後急性疼痛管理と長期使用予防効果を症例対照前向きコホート研究で検討。 その結果、 ほとんどの患者においてオピオイドの処方を退院3日以内に抑える事が可能であり、 術後の回復を損わずオピオイド長期使用を減少させる事ができることが示唆された。 本研究は、 JAMA Oncol誌において発表された。
単施設ケースコントロール研究なので、 どうしても結果を一般化するためには追研究成果が待たれます。
モルヒネ経口30mgを基準としたオピオイド換算量
術後のオピオイド処方方法を変更することで、 手術患者におけるオピオイドの慢性的な使用を減らすことができるかもしれない。
三次医療総合がんセンターにおいて、 標準化された患者教育とともに、 手術後のオピオイド供給量を3日以内に指定する制限的オピオイド処方プロトコル (ROPP) が実施された。
2018年8月1日から2019年7月31日までに手術を受けた全患者。
各外科におけるROPPの遵守率、 処方日数とリフィル依頼の平均回数、 処方されたオピオイドの種類、 オピオイド長期使用への転換率。
合計4,068名
ROPP前群:2017名
ROPP後群:2051名
ROPP遵守率:95%
ROPP実施後の平均オピオイド処方日数は平均2日有意に減少した (P<0.001)
ROPP実施により、 術後に処方されるオピオイドが45%減少した (P<0.001)
ROPP後群では、 リフィル依頼が少なかった (P=0.02)
ROPP実施後のオピオイド長期使用への転換率は、 オピオイド使用歴のないがん患者およびがん以外の患者ともに低下していた。
外科的合併症に統計的な有意差はなかった。
退院後3日以内のオピオイド処方にとどめる事は、 ほとんどの患者において可能である。 これは、 術後に処方されるオピオイドの数の有意な減少につながり、 術後回復に大きな影響なく、 長期オピオイドへの転換を著しく減少させることに関連していた。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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