HOKUTO編集部
23日前
シスプラチン適格の筋層浸潤膀胱癌 (MIBC) における抗PD-L1抗体デュルバルマブ+化学療法による術前療法およびデュルバルマブ術後投与の有効性について、 術前化学療法単独を対照に検証した第Ⅲ相国際共同オープンラベル無作為化比較試験NIAGARA長期成績の探索的事後解析の結果、 MFSが有意に改善し、 膀胱癌死亡リスクも低減した。 米・Icahn School of Medicine at Mount SinaiのMatthew D. Galsky氏が発表した。
NIAGARA試験においては、 MIBCに対する術前化学療法への周術期デュルバルマブ併用により、 追跡期間中央値 42.3ヵ月における無イベント生存期間 (EFS) および追跡期間中央値 46.3ヵ月における全生存期間 (OS) が有意に改善することは昨年の欧州臨床腫瘍学会 (ESMO 2024) で既に報告されている。
本試験の主要評価項目は無イベント生存期間 (EFS) および病理学的完全奏効率 (pCR) であり、 副次評価項目として無転移生存期間 (MFS)、 疾患特異的生存期間 (DSS)、 全生存期間 (OS)、 治療関連有害事象 (TRAE) などが設定された。
今回の報告では、 同治療レジメンの有効性および安全性に関する最新結果が評価され、 長期予後に及ぼす探索的な事後解析として①MFS、 ②DSS、 ③pCR達成別のEFS・OSーーの結果が発表された。
MFS中央値は両群ともに未到達 (NR) であり、 デュルバルマブ群では対照群と比較して遠隔転移または死亡のリスクが33%低減した (HR 0.67、 95%CI 0.54-0.83、 p<0.001)。 24ヵ月時点でのMFS率はデュルバルマブ群が75.1%、 対照群が65.1%だった。
また、 DSS中央値も両群ともにNRであり、 デュルバルマブ群では膀胱癌による死亡のリスクが31%低減していた (HR 0.69、 95%CI 0.52-0.91、 p=0.008)。 24ヵ月時点でのDSS率はそれぞれ89.2%、 82.2%だった。
pCR率はデュルバルマブ群が37.3%、 対照群が27.5%だった。
pCR達成・未達成別の24ヵ月時EFS率は以下の通りで、 pCRが得られた患者・得られなかった患者のいずれもデュルバルマブ群で良好な傾向だった。
pCRが得られた患者
HR 0.58 (95%CI 0.332-0.999)
pCRが得られなかった患者
HR 0.77 (95%CI 0.631-0.948)
24ヵ月OS率についてもEFSと同様の傾向が認められた。
pCRが得られた患者
HR 0.72 (95%CI 0.367-1.426)
pCRが得られなかった患者
HR 0.84 (95%CI 0.660-1.068)
免疫介在性有害事象 (imAE) はデュルバルマブ群の21% (Grade3/4は3%) に発現したものの、 2024年4月29日のデータカットオフ時点でうち41%が解消していた。 またデュルバルマブ群で比較的多く認められたimAEは甲状腺機能低下症 (10%)、 甲状腺機能亢進症 (3%) だった。
Galsky氏は 「デュルバルマブ併用化学療法および術後デュルバルマブ維持療法は、 MIBC患者の遠隔転移および死亡リスクを低減し、 pCR達成の有無にかかわらずEFSおよびOSの改善傾向が認められた。 本試験の結果は、 シスプラチン適格のMIBC患者に対する新たな治療法の可能性として、 周術期デュルバルマブ併用療法をさらに支持するものである」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。