海外ジャーナルクラブ
5ヶ月前
Boukovalaらは、 1次化学療法を受けた転移性大腸癌 (mCRC) 患者を対象に、 modified Glasgow Prognostic Score (mGPS) と生存期間との関連について、 第Ⅲ相無作為化比較試験XELAVIRIの事後解析で検討した。 その結果、 mGPSは治療レジメンを問わない独立した予後予測因子であることが示された。 本研究はESMO Openにおいて発表された。
スコアは項目を増やせば増やすほどその精度が高まりますが、 mGPSはアルブミンとCRPという、 いつでも測定できて、 安価で、 見慣れているところが何よりも魅力的です。
mGPSは、 血清中アルブミン値とCRP値を組み合わせたもので、 進行癌の生存期間を予測することが示されている。 本研究は、 第Ⅲ相無作為化試験であるXELAVIRI試験で1次化学療法を受けている任意の転移性大腸癌 (mCRC) 患者を対象として、 mGPSが生存期間に及ぼす影響のほか、 性別と組み合わせたときの予後予測能について明らかにすることを目的とした。
XELAVIRI試験において1次化学療法を受けたmCRC患者 : 362例*
逐次治療群
フルオロピリミジン/ベバシズマブ+初回進行時にイリノテカン
集中治療群
フルオロピリミジン/ベバシズマブ/イリノテカンによる初期併用療法
今回の事後解析では、 血清中アルブミン値とCRP値に基づき被験者をGPSカテゴリー0、 1、 2のいずれかに割り当て (下表)、 生存期間を評価した。 mGPSと性別の交互作用も解析した。
mGPSとOSとの間に有意な関連が認められた。
mGPS=0
OS中央値 : 28.9ヵ月 (95%CI 25.9-33.6ヵ月)
mGPS=1
OS中央値 : 21.4ヵ月 (95%CI 17.6-26.1ヵ月)
mGPS=2
OS中央値 : 16.8ヵ月 (95%CI 14.3-21.2ヵ月
p<0.00001
mGPSとPFSとの間に有意な関連が認められた。
mGPS=0
PFS : 10.2ヵ月 (95%CI 9.5-10.9ヵ月)
mGPS=1
PFS : 8.8ヵ月 (95%CI 7.4-11.9ヵ月)
mGPS=2
PFS : 8.2ヵ月 (95%CI 7.1-9.4ヵ月)
p=0.018
mGPSが生存期間に及ぼす影響は、 治療レジメンとは関連していなかった (p=0.21)。
男女別にみた結果は以下のとおりであった。
女性 : 逐次治療群のOSが集中治療群に比べて長い傾向が認められ、 mGPS=0のコホートで顕著であった (41.6ヵ月 vs 25.5ヵ月、 p=0.056)。
男性 : mGPS=1~2のOSは、 逐次治療群に比べて集中治療群で長かった (20.8ヵ月 vs 17.4ヵ月、 p=0.022)。
著者らは 「1次治療を受けているmCRC患者において、 mGPSは治療レジメンを問わないOSの独立した予測因子としての役割を有することが示された。 mGPSは、 初期から併用を行う集中治療から利益を得る性別サブグループを特定する助けになり得る」 と結論で述べている。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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