寄稿ライター
4ヶ月前
さまざまな投資を比較・検討してきた私が、 メインとしているのが 「1LDKマンション投資」 です。 連載 「医師による医師のための財テク術」 の20回目では、 前回に続いてその特徴を掘り下げていきます。
前回記事はコチラ。
1LDKマンションの豊富な需要は、 売却を考えた出口戦略にも重要です。 連載第13回でご紹介しましたが、 1Rマンションは業者を通して投資家に販売するしか出口がありません。
しかし、 1LDKマンションは住宅ローンが組める部屋面積となります。 近年増加している夫婦だけの単独世帯 (DINKS : Double Income No Kids) が居住用として実需で購入する経路もあります。
ちなみに、 住宅ローンであれば融資期間が残存法定用年数に縛られることもなくなり、 1Rマンションのように築18年以内に売らないといけない、 といった制限もありません。
他にも、 小規模オフィスとしての活用なども期待でき、 1LDKマンションは投資用、 実需用、 オフィス用と幅広い層の出口があるため、 物件価格が維持されることが期待されます。
首都圏では1R>>1LDK>2LDK>3LDKと空室率が減少していきます。 【グラフ1】を見ると、 近年はファミリータイプの賃料の上昇が強いようです。 以上のことから、 「1LDKより2LDK、 3LDKがいいのでは」 と考える人もいるでしょう。
ただ、 私は基本的に2LDK、 3LDKは考えていません。 そもそも、 前回の連載で触れましたが、 1㎡あたりの賃料は、 部屋面積が広くなるほど下がる傾向にあります。
さらに、 分譲マンションは共用部分が広く、 内装なども豪華になりやすいため、 投資用マンションに比べて物件価格が上振れしやすいです。 要するに、 利回りが悪くなってしまいます。
2LDKなどはファミリー層が多く、 入居年数が長くなる傾向にあります。 空室期間が少なくなるという意味では良いのですが、 異動などに伴う引越しの繁忙期 (1~3月) に部屋を埋めないと、 逆に空室期間が長くリスクもあります。
こうして自分で住むための需要を取り込めないと、 投資家への販売しか出口がなくなり、 販売価格が下がるリスクもあるのです。 出口戦略の時期がコントロールしにくくなるのです。
1Rマンションと異なり、 1LDKは銀行が担保価値を評価してくれるため、 市中銀行からより低金利で融資を受けられる可能性があります。 ただ、 我々にとって数千万円の物件は大きな買い物ですが、 銀行員にとっては小口案件です。
そのため、 マンション1棟投資などに比べると銀行に軽視されがちです。 年収2000万円、 頭金1~2割は要求されると思ってください。
1LDKマンションの魅力をお伝えしてきましたが、 最大の問題は投資適格な物件が少ないことです。 「千三つ」 (せんみつ) といって、 1000物件のうち投資適格なのは3つくらいしかないとよく言われます。
通常、 住宅ローンの融資枠は年収の5~7倍とされています。 しかし、 都内の新築マンション融資では、 年収倍率は14~15倍にも達し、 高年収の共働き世帯 (パワーカップル) でも手が届かない域に到達しつつあります。
ただ、 海外の主要都市に比べると東京の不動産は割安です。 歴史的な円安を背景に海外資金が流入し、 都心の一等地の価格をさらに釣り上げています。
一方、 2024年はついに日銀がマイナス金利政策を解除しました。 変動金利が上がれば確実に物件価格に下押し圧力がかかります。 現状では、 米国の利下げ期待の後退で円安になっていますが、 仮に日銀の政策金利の上昇で円高になると、 海外資金が流入しにくくなる点は懸念されます。
私は 「2025年は物件価格の上昇が一服するのではないか」 と予想しております。 「不動産投資家になりたい」 という意志が強い方は、 物件がないと自分の投資基準を引き下げて目の前にある物件を買ってしまう傾向にありますが、 焦らずに物件を探し続けるといいと思っています。
いかがでしたでしょうか。 今回のTake Home Messageは
となります。 次回は木造築古アパート投資について考察します。
*¹⁾ アットホームおよび三井住友トラスト基礎研究所 : マンション賃料インデックス公表資料 2024年第3四半期(2024/12/24)
*²⁾ 不動産総合研究所 : 不動産市場総合データ集(2023年11月)
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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