HOKUTO編集部
2ヶ月前

未治療の高リスクHER2陽性早期乳癌患者に対する術前療法として、 抗HER2抗体薬物複合体トラスツズマブ デルクステカン (T-DXd) またはT-DXd-THP*の有効性および安全性を、 標準治療 (SOC) であるddAC-THP**と比較評価した国際多施設共同第Ⅲ相非盲検無作為化比較試験DESTINY-Breast11において、 病理学的完全奏効 (pCR) 率が有意に改善し、 安全性プロファイルも良好であった。 独・LMU University HospitalのNadia Harbeck氏が発表した。
HER2陽性早期乳癌に対する術前療法において、 10年以上にわたり新たな治療法が開発されておらず、 より効果的で毒性の少ないレジメンへのアンメットニーズが依然としてある。 また、 T-DXdは従来のSOCと比べて転移性乳癌における生存転帰を改善することが報告されている¹⁾²⁾。
そこで第Ⅲ相DESTINY-Breast11試験では、 高リスクHER2陽性早期乳癌患者に対する術前療法として、 T-DXd単独またはT-DXd-THPの有効性および安全性をddAC-THPと比較評価した。
対象は、 未治療で高リスク (cT3以上かつN0-3、 またはcT0-4かつN1-3、 または炎症性乳癌) のHER2陽性早期乳癌患者であった。
927例が以下の3群に1 : 1 : 1で無作為に割り付けられた。
2024年3月12日、 独立データモニタリング委員会の勧告を受け、 T-DXd単独群の登録は中止された。
主要評価項目は盲検下中央判定による病理学的完全奏効 (pCR、 ypT0/is ypN0)、 副次評価項目は無イベント生存期間 (EFS)、 安全性などであった。
T-DXd-THP群、 ddAC-THP群でそれぞれ、 年齢中央値は50歳 (範囲 25-82歳)、 50歳 (範囲 23-79歳)、 ホルモン受容体陽性は73.5%、 73.4%、 リンパ節転移ありは89.4%、 87.8%であった。
pCR率は、 ddAC-THP群の56.3%と比べて、 T-DXd-THP群では67.3%と有意な改善を示した (群間差 11.2%㌽ [95%CI 4.0-18.3%㌽]、 p=0.003)。
またサブグループ解析において、 T-DXd-THP群はddAC-THP群と比べて、 ホルモン受容体陽性および陰性集団のいずれにおいてもpCR率の改善が認められた。
その他、 臨床病期をはじめ事前に規定されたほぼ全てのサブグループでT-DXd-THP群によるpCR率の改善が認められた。
データカットオフ時点 (2025年3月12日)*におけるEFS率は、 ddAC-THP群の93.1% (95%CI 88.7-95.8%) と比べて、 T-DXd-THP群では96.9% (同 93.5-98.6%) と数値的に良好な傾向が認められた (HR 0.56 [同 0.26-1.17])。
データカットオフ時点におけるmaturityは4.5%であった。 最終カットオフ時点でのmaturityは約10%と予測された。
追加評価項目である残存腫瘍量 (RCB) において、 手術後にRCB-0~Ⅰ**の割合はT-DXd-THP群が81.3%、 ddAC-THP群が69.1%であった。
ホルモン受容体陽性/陰性のサブグループ解析においての同割合は、 陽性集団のT-DXd-THP群で78.0%、 ddAC-THP群で64.7%、 陰性集団ではそれぞれ90.4%、 81.2%であった。
Grade3以上の有害事象 (AE : 37.5% vs 55.8%)、 重篤なAE (10.6% vs 20.2%)、 治療中断に至ったAE (37.8% vs 54.5%) の発現率と、 全Gradeの左室機能障害 (1.3% vs 6.1%)、 好中球減少症 (29.1% vs 44.2%)、 白血球減少症 (17.2% vs 23.4%)、 倦怠感 (41.3% vs 54.8%) の発現率はいずれもT-DXd-THP群で低かった。
薬剤関連の間質性肺疾患 (ILD) ・肺炎の発現率は両群で同程度であった (4.4% vs 5.1%)。
Harbeck氏は 「DESTINY-Breast11試験の結果は、 T-DXd-THPが今後、 高リスクHER2陽性早期乳癌患者における新たな標準治療となる可能性を支持している」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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