寄稿ライター
2ヶ月前
医局ウォッチャーこと、 コアライ ミナトです。 連載16回目のテーマは 「医局とクビ」 です。穏やかではない話題ではありますが、 一口に 「クビ」 といっても深刻度や原因の所在は様々です。 4パターンに分けて解説します。
まずは最も穏便なパターンです。 自らの意思で退局した元医局員が、 冗談交じりで 「クビになったんだ」 と周囲に言っているだけ、 という状況ですね。
医局を悪く言わないため、 医局の顔を立てるための優しい嘘でもあるわけです。
この場合は (ちょっとした居心地の悪さはあったかもしれませんが)、 最終的には穏便に話がついている可能性が高く、 深刻な状況ではなさそうです。
医局員が自らの意思で辞めた、 という状況は同じですが、 医局側が 「クビにした」 と周囲に伝えている点が違います。
医局や教授のプライドを保つため、 「辞められた」 ことを公にしたくないのでしょう。 でも周りの医局員は実態を知っていて、 冷めた目でみています。
クビほど激しくはないものの、 似た状況として、 「移籍させた・国内留学させた」 と言い張るというのもあります (もう帰っては来ないのに)。
3つ目は、 「外部にポストを作って、 出ていかせた」 という状況です。 このあたりから、 本当のクビと言えそうです。
仕事をしない人や折り合いが悪い人を、 遠方の医療系学校やほぼ関わりのない学内のポストなどに飛ばすわけですね。 左遷と似ていますが、 「自らの傘下・関連からは追い出し、 実質的な縁を切りに行く」 という点で異なります。
医局には 「医局員を無償で動かせるかわりに、 ポストを保証する」 という暗黙のルールがあります。 大人の対応として、 ここは守るというわけですね。
「栄転ですね」 「お世話になりました」 といって握手して別れ、 クビという言葉は出ませんが、 周囲は 「クビだよね」 とヒソヒソ言っているわけです。
好ましい状況とは言えないものの、 長く医局運営していくなかで、 こういったことが数回あるのは仕方がないのかなと思います。
最後は 「あなたに渡すポストはありません。 医局から出ていってください」 というパターンです。 まじりっけなしのクビですね。 本人も医局も周囲も、 口を揃えて 「あれはクビだった」 といいます。
この状況を実際にみていると、 本人にも医局にも問題があることが多いように感じますね。 クビ事件そのものがというより、 根本的なところに、 です。
本人はもちろんですが、 医局としても 「ポストを保証する」 という原則を破ってしまうわけ。 その後も、 別の揉め事や退局者続出といった噂を聞くことが多いです。
いかがでしたでしょうか。
「医局クビ」 のどのパターンか探ってみると、 その医師や医局について判断する基準になるかもしれません。 その際、 現在 「誰の口からクビという言葉が出ているか」 に注目するとわかりやすいと思います。
さて、 今回は以上です。
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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