HOKUTO通信
12日前

医師としてキャリアを重ねるなかで、 これまでの選択を振り返ることもあるのではないでしょうか。 HOKUTO編集部では 「もう一度選べるとしたら、 同じ道を選ぶか」 を尋ねるアンケートを実施しました。
アンケートは2026年9月、 医師会員を対象に実施しました。 有効回答は5,995件。
職業・診療科・勤務地・母校の4つの 「選び直し」 と、 子どもに医師を勧めるかについて、 4段階評価 ( 「1 : はい」 「2 : どちらかと言えば、 はい」 「3 : どちらかと言えば、 いいえ」 「5 : いいえ」 ) で尋ねました。 全体の傾向と診療科別・出身大学別・都道府県別など属性での違いもご紹介します。

もう一度選べるとしても同じ選択をする医師は、 職業 (医師になる) 78.2%、 勤務地 (今の都道府県で働く) 75.8%、 診療科 (同じ科を選ぶ) 73.4%と、 いずれも4人に3人前後にのぼりました。
一方、 母校の医学部を選ぶは60.1%、 子に医師を勧めるは51.2%にとどまります。 最も強い肯定 (選択肢1) だけで見ると、 子に 「勧める」 は11.3%でした。

職業をもう一度選べるとしたら医師に 「なる」 は37.4%、 「どちらかといえばなる」 は40.8%で、 合わせて78.2%でした。 「ならない」 側は21.8%です。
🔳医師以外なら公務員・パイロット
「ならない」 側に、 具体的に就きたい職業を自由記述で尋ねました (回答1,307件)。 記入どおりに集計すると、 公務員62件が最多で、 パイロット53件、 エンジニア44件、 会社員41件、 弁護士27件と続きました。 このほか研究者18件、 商社17件、 投資家17件、 建築士13件、 農業12件などが挙がっています。

同じ診療科を 「選ぶ」 は34.6%、 「どちらかといえば選ぶ」 は38.9%で、 合わせて73.4%でした。 「選ばない」 側は26.6% (1,592人) です。
🔳選び直すなら一般内科が最多
一方、 同じ科を選ばない側に選び直す診療科を尋ねると、 一般内科8.7%が最多で、 眼科5.9%、 皮膚科5.5%、 消化器内科5.0%、 形成外科4.9%と続きました。 ただ、 上位5科を合わせても30.0%で、 回答は分散しています。


勤務地をもう一度選べるとしたら今の都道府県で 「働く」 は38.8%、 「どちらかといえば働く」 は37.0%で、 合わせて75.8%でした。

大学受験をやり直せるとしたら母校の医学部を 「選ぶ」 は24.5%、 「どちらかといえば選ぶ」 は35.6%で、 合わせて60.1%でした。 職業や診療科と比べると低く、 4割は 「選ばない」 側です。

母校で得たもののうち、 いま最も大きいと感じるものは 「同期・先輩後輩とのつながり」 34.4%が最多でした。 次いで 「特にない」 24.7%、 「医局・人脈」 13.4%、 「学風・価値観」 11.6%で、 「恩師との出会い」 は5.9%、 「研究の作法」 は1.5%でした。

お子さんに医師になることを 「勧める」 は11.3%、 「どちらかといえば勧める」 は39.8%で、 合わせて51.2%でした。 「どちらかといえば勧めない」 も33.9%あり、 意見はほぼ二分しています。

診療科別 (回答50人以上の28科) に見ると、 同じ科を選ぶ割合は救急科83.7%が最も高く、 整形外科82.0%、 糖尿病・代謝・内分泌内科81.4%、 小児科79.5%、 消化器内科78.7%と続き、 いずれも8割前後でした。
反対に 「選ばない」 側が多かったのは呼吸器外科36.5%、 腎臓内科33.5%で、 一般外科も31.4%と3人に1人にのぼりました。
🔳職業・子への推奨も診療科で差
「再び医師になる」 と答えた割合は精神科82.5%、 一般外科82.4%、 整形外科82.3%が僅差で並びました。 一方、 「ならない」 側はリハビリテーション科30.8%、 乳腺外科30.4%と3割に達しています。
子に医師を勧める割合は眼科59.4%が全28科で最も高くなりました。 一方、 「勧めない」 側はリハビリテーション科63.5%が最も多く、 脳神経内科59.3%、 膠原病・リウマチ・アレルギー科59.3%も6割前後でした。
※リハビリテーション科 (52人)、 乳腺外科 (56人)、 膠原病・リウマチ・アレルギー科 (59人) などは回答数が少なく、 参考値です。

出身大学別 (回答40人以上の78大学) では、 東京大学93.9%が最も高く、 京都大学89.2%、 北海道大学85.3%、 名古屋大学84.5%、 九州大学83.7%が続きました。 東京大学は 「選ぶ」 だけでも73.2%にのぼります。
このほか岡山大学81.5%、 千葉大学80.0%、 東京科学大学79.5%、 横浜市立大学78.6%、 大阪公立大学75.0%、 金沢大学・長崎大学72.3%、 神戸大学70.8%なども全体 (60.1%) を上回りました。
🔳大学別では診療科・職業・子への推奨にも差
同じ診療科を選ぶ割合は自治医科大学85.0%、 横浜市立大学83.3%、 岐阜大学82.7%が上位3校でした。 再び医師になる割合は愛知医科大学91.7%が最も高く、 横浜市立大学88.1%、 順天堂大学86.8%が続いています。
子に医師を勧める割合は愛知医科大学66.7%が最も高く、 藤田医科大学・大阪医科薬科大学63.0%、 関西医科大学62.5%と私立医大が上位に並びました。
※大学別は回答40人以上の78大学を集計しています。 回答数が少ない大学は参考値です。

「母校で得たもの」 は違いが表れました。 「学風・価値観」 は京都大学が48.0%と全体 (11.6%) の4倍超で、 2人に1人が挙げています。 自治医科大学29.9%、 慶應義塾大学29.5%、 東京慈恵会医科大学27.9%、 北海道大学27.5%、 琉球大学25.5%が続きました。
「医局・人脈」 は東京大学39.0%が最も多く、 名古屋大学36.1%、 大阪大学35.8%と旧帝大が上位に並びました。 岡山大学27.2%、 九州大学26.0%、 慶應義塾大学23.1%、 熊本大学22.2%、 京都府立医科大学21.7%、 名古屋市立大学21.4%、 長崎大学20.5%も2割を超えています。
「同期・先輩後輩とのつながり」 は鹿児島大学48.2%が最多で、 横浜市立大学47.6%、 東京医科大学46.7%、 香川大学45.1%、 昭和医科大学・防衛医科大学校44.7%、 岩手医科大学44.6%、 久留米大学43.5%、 新潟大学43.1%などでも4割を超えました。
🔳恩師・臨床・研究で目立つ大学も
全体では少数派の選択肢でも、 特定の大学で多く挙がりました。 「臨床の基礎」 は川崎医科大学21.8%が最も多く、 北里大学16.4%、 佐賀大学15.4%、 筑波大学14.5%が続きます。 「恩師との出会い」 は近畿大学12.3%、 愛媛大学11.9%、 北里大学11.5%、 和歌山県立医科大学11.4%が上位でした。 「研究の作法」 は全体1.5%に対し、 東北大学が9.3%で最も高くなりました。

都道府県別 (回答50人以上の35都道府県) では、 東京都87.1%、 神奈川県86.5%、 福岡県83.9%、 愛知県83.4%、 兵庫県82.9%、 大阪府82.0%と大都市圏が8割を超えました。
一方、 今の都道府県では 「働かない」 側は石川県44.0%、 愛媛県41.7%、 三重県40.8%で4割を超えました。 和歌山県・山口県38.9%、 宮崎県38.0%、 栃木県36.3%、 富山県36.1%、 新潟県35.1%、 鹿児島県34.3%、 福島県33.8%でも3人に1人以上が 「働かない」 側でした。
🔳診療科・職業・子への推奨にも差

同じ診療科を選ぶ割合は滋賀県86.3%が最も高くなりました。 「選ばない」 側は和歌山県41.7%が最も多く、 静岡県35.8%、 宮城県35.7%が続いています。
再び医師になる割合は岡山県90.3%が最も高く、 「ならない」 側は沖縄県31.5%が最も多くなりました。 子に医師を 「勧めない」 側は和歌山県61.1%、 岐阜県59.0%で6割前後でした。
※都道府県は勤務先の都道府県。 回答50人未満の12県は集計対象外です。

年代別では、 同じ診療科を選ぶ割合が20代81.6%で最も高く、 50代69.8%、 60代69.9%で低くなりました。
一方、 再び医師になる割合は70代以上が82.1%で最も高く、 子に医師を勧める割合も20代46.7%から70代以上62.6%へと、 年代が上がるほど高い傾向が見られました。

勤務先別では、 大学病院の医師が母校65.0%、 診療科79.5%といずれも最も高くなりました。 同じ診療科を選ぶ割合は、 市中病院 (99床以下) 67.2%、 クリニック69.8%などで低めです。 子に医師を勧める割合は50.1~54.0%で、 勤務先による差は小さい結果でした。
最後に、 「この道を選んでよかった」 と最も感じた瞬間を自由記述で尋ねました (回答3,207件)。 患者さんの回復や感謝の言葉を挙げる声が多く寄せられました。 一部をご紹介します。
・ 「ありきたりですが、 『先生のおかげで命拾いした』 と言われた時。」
・ 「亡くなった患者家族が、 葬儀の後や忌明けにわざわざ挨拶に来てくれる時。」
・ 「冷や汗かいてショック状態でのたうち回っていた患者が歩いて退院して社会復帰していった時」
・ 「病でご自分の夢を諦めかけている患者に医療を施し、 その結果、 患者が夢を諦めずに済んだ時」
・ 「研究成果が初めてアクセプトされ、 論文として掲載された時」
・ 「高校の同窓会でほかの職業の話にほんとに興味がわかなかった」
・ 【医師6千人調査】年収は?収入は減った?4割が「年収に不満」

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。