海外ジャーナルクラブ
4ヶ月前

Schuermansらは、 未確定の潜在能をもつクローン性造血 (CHIP) が心筋炎および心膜炎の新規発症リスクに及ぼす影響を観察的コホート研究で評価した。 その結果、 CHIPは心筋炎・心膜炎リスクを有意に増加し、 強力なリスク因子であることが明らかとなった。 本研究はJAMA cardiology誌において発表された。
CHIPは炎症性心疾患のリスク因子・新規機序であり、 治療標的となる可能性があるとのことです。
CHIPは、 白血病関連遺伝子変異を有する造血幹細胞のクローン性増殖であり、 加齢とともに増加する。 特定のCHIP変異は、 免疫関連経路を介してアテローム性動脈硬化症や心不全を促進する。
そこで本研究では、 CHIPが心筋炎および心膜炎の新規発症リスクに及ぼす影響を観察的コホート研究で評価した。
UKバイオバンクの登録データのうち、 心血管疾患や造血器悪性腫瘍の既往がなく、 全エクソームシーケンス解析を受け、 共変量データを有する参加者33万5,426例を対象とした。追跡期間中央値13.6年 (四分位範囲 12.8~14.2年) であった。
CHIP (変異アレル頻度 [VAF] ≥2%) および大規模CHIP (VAF≥10%) はいずれも主要曝露因子とした。 副次的解析では、 DNMT3AおよびTET2変異CHIPを個別の曝露因子として検討した。
主要評価項目は新規発症の心筋炎および心膜炎の複合アウトカムであった。 Cox回帰分析により、 年齢、 性別、 人種・祖先、 心血管リスク因子を調整して、 CHIPと心筋炎・心膜炎の関連性を検討した。
副次的解析では心筋炎と心膜炎を別個のアウトカムとして評価した。 また、 追加解析では、 CHIPと心筋炎・心膜炎の関連性を他の心血管疾患との関連性と比較し、 CHIPと非心臓性免疫介在性炎症性疾患との双方向的関連性を検討した。
参加者の平均年齢は56.1歳、 女性が18万5,429例 (55.3%)、 男性が14万9,997例 (44.7%) であった。
1万1,057例 (3.3%) がCHIP、 7,271例 (2.2%) が大規模CHIPを有し、 382例 (0.11%) が心筋炎または心膜炎を発症した。
主要評価項目である新規発症の心筋炎および心膜炎の発症リスクにおいて、 CHIPおよび大規模CHIPの多変量調整HRは、 それぞれ1.75 (95%CI 1.14-2.68、 p=0.01)、 2.07 (95%CI 1.28-3.33、 p=0.003) であった。
DNMT3AおよびTET2変異CHIPではリスク増加が認められ、 DNMT3A変異における心膜炎のHRは2.22 (95%CI 1.17-4.21、 p=0.01)、 TET2変異における心筋炎のHRは3.65 (95%CI 1.16-11.49、 p=0.03) であった。
CHIPは、 冠動脈疾患や心不全といった他の心血管疾患よりも心筋炎および心膜炎と強く関連していた。 また、 CHIPは非心臓性免疫介在性炎症性疾患の発症リスクを1.27倍増加させたが (HR 1.27 [95%CI 1.16-1.39]、 p<0.001)、 逆因果関係を示す根拠は認められなかった。
著者らは 「CHIPは中年成人における心筋炎および心膜炎の強力なリスク因子であることが明らかとなった。 CHIPおよびその下流経路を標的とすることは、 心膜炎および心筋炎の予防または治療戦略となり得る」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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