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42日前

【NEJM】大腸癌術後の血中循環腫瘍DNA解析に基づく補助化学療法について


Tie Jらは、 II期の結腸癌患者455名を対象に、 血中循環腫瘍DNA (ctDNA) を用いたアプローチにより、 再発リスクに影響を及ぼすことなく術後化学療法の使用を少なくできるかを検証する第Ⅱ相試験を実施 (DYNAMIC試験) . その結果、 ctDNAを用いたアプローチは、 無再発生存率 (RFS) を低下させることなく、 術後補助化学療法の使用量を減少させることが明らかとなった. 本研究はNEJM誌において発表された.

背景

術後にctDNAが存在する場合、 無再発生存率は非常に低いと予測されるが、 ctDNAがない場合、 再発リスクは低いと推察される. ctDNA陽性患者に対する術後補助化学療法の有用性は十分に解明されていない.

研究デザイン

  • 豪州メルボルン大学やPeter Mac癌センターが中心となった多施設無作為化第Ⅱ相試験.
  • Stage IIの結腸癌患者を以下の2群に2:1の割合で無作為に割り付けた.
  • ctDNAに基づき治療の意思決定を行う群 (ctDNA管理群 302名)
  • 標準的な臨床病理学的特徴に基づき治療の意思決定を行う群 (標準管理群 153名)
  • 術後4~7週間でctDNAが陽性であれば、 オキサリプラチンまたはフルオロピリミジンを用いた化学療法を実施. ctDNA陰性の患者には治療を行わなかった.
  • 主要評価項目:2年後の無再発生存率 (RFS).
  • 副次的評価項目:術後補助化学療法の使用.

研究結果

追跡期間中央値は37ヵ月であった. 術後補助化学療法を受けた患者の割合はctDNA管理群で有意に少なかった.

  • ctDNA管理群:15%
  • 標準管理群:28%
  • (相対リスク 1.82、 95%CI 1.25~2.65)

2年RFSの評価は、 ctDNA管理群が標準管理群に対して非劣性であった.

  • ctDNA管理群:93.5%
  • 標準管理群:92.4%
  • (絶対差1.1%ポイント、 95%CI -4.1~6.2、 非劣性マージン -8.5%ポイント)

3年RFSの評価:以下の通りであった.

  • 術後補助化学療法を受けたctDNA陽性患者:86.4%
  • 受けなかったctDNA陰性患者:92.5%

結論

Tie Jらは「ステージⅡ結腸癌の治療において、 ctDNAを用いたアプローチは、 無再発生存率を低下させることなく、 術後補助化学療法の使用量を減少させた」と結論づけた.

原著

Tie J, et al, Circulating Tumor DNA Analysis Guiding Adjuvant Therapy in Stage II Colon Cancer. N Engl J Med. 2022 Jun 16;386(24):2261-2272.PMID: 35657320

編集部コメント

本邦の大腸癌治療ガイドライン 医師用2019年版においても、 ステージⅡ大腸癌の術後補助化学療法をルーチンで行うことは推奨されていません (CQ18). 再発高リスク因子、 治療の有益性・副作用を十分加味、 説明したうえで術後補助化学療法を行うことが推奨されます. なお、本試験の🎬動画解説 (無料)は大変わかりやすいのでお薦めです.


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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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