【急性心筋梗塞】高感度トロポニンTの単回測定、 低リスク患者のAMI除外に有効
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2年前

【急性心筋梗塞】高感度トロポニンTの単回測定、 低リスク患者のAMI除外に有効

【急性心筋梗塞】高感度トロポニンTの単回測定、 低リスク患者のAMI除外に有効
Sandoval Yらは、 高感度トロポニンT (hs-cTnT)の単回測定によって急性心筋梗塞リスクの低い患者を特定できるか検討するコホート研究を実施 (8万5,610名対象). その結果、 定量下限値6ng/L以下のhs-cTnT単回測定が、 急性心筋梗塞リスクが低い患者を相当数同定できる安全な方法であることを明らかにした. 本研究はCirculation誌において発表された.

背景

  • 急性心筋梗塞の除外には、 5ng/L以下のhs-cTnTを単独で用いることを支持する十分なデータが存在する.
  • FDAでは、 hs-cTnTは定量限界である6ng/Lまでしか報告できないが、 この閾値に関するデータは限られている.

研究デザイン

  • 22施設の救急外来で少なくとも1回のhs-cTnTを受けた患者を対象にしたコホート研究 (CV Data Mart Biomarker cohort) を基に、 低リスク患者の識別効果 (ベースラインのhs-cTnT<6 ng/Lに基づき低リスクと識別される割合) を検討した.
  • 心電図に虚血所見がなく、hs-cTnT<6 ng/Lの患者における急性心筋梗塞の診断性能と安全性 (30日以内の心筋梗塞または死亡) を評価した.

研究結果

  • 合計8万5,610人の患者のうち2万4,646人 (29%) がhs-cTnT<6ng/Lであった.
  • 女性は男性よりもhs-cTnT<6ng/Lである確率が高かった (38%vs20% P<0.0001)
  • hs-cTnT<6 ng/Lで連続測定を行った11,962 例のうち、 急性心筋梗塞を発症したのは1.2%であった.
  • 陰性的中率 98.8% (95%CI 98.6~99.0)
  • 感度 99.6% (95%CI 99.5~99.6)
  • 心電図に虚血所見がなく、 hs-cTnT<6 ng/Lの患者の33% (1、849例中610例) が低リスクと判定され、 30日間の心筋梗塞または死亡率は0.2%であった.
  • 陰性的中率 100%
  • 感度 100%

結論

定量下限値6ng/L以下のhs-cTnT単回測定は、 急性心筋梗塞のリスクがとても低い患者を相当数同定できる安全な方法であることが明らかとなった.

原著

Sandoval Y, et al, Rapid Exclusion of Acute Myocardial Injury and Infarction With a Single High-Sensitivity Cardiac Troponin T in the Emergency Department: A Multicenter United States Evaluation. Circulation. 2022 Jun 7;145(23):1708-1719.PMID: 35535607

👨‍⚕️ HOKUTO監修医コメント
下限値が5→6でもOKということですが、 1.2%のAMI発症をどう捉えるかですね. 心電図の虚血初見なしと組み合わせると0.2%というのは納得ですし、実臨床で使えそうですね. 

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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