【Drugs】不眠症治療、非ベンゾジアゼピン系は中途覚醒改善に有効
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海外ジャーナルクラブ

11ヶ月前

【Drugs】不眠症治療、非ベンゾジアゼピン系は中途覚醒改善に有効

【Drugs】不眠症治療、非ベンゾジアゼピン系は中途覚醒改善に有効
Panらは、 不眠症患者を対象に、 不眠症治療薬の有効性と安全性を系統的レビューとメタ解析で検討。 その結果、 非ベンゾジアゼピン系薬は、 総睡眠時間、 入眠潜時に加えて、 中途覚醒時間を改善すると示唆された。 また、 他の不眠症治療薬クラスや個々の薬剤も、 不眠症状の改善において潜在的な効果を示した。 本研究はDrugsにおいて発表された。

📘原著論文

The Comparative Effectiveness and Safety of Insomnia Drugs: A Systematic Review and Network Meta-Analysis of 153 Randomized Trials. Drugs. 2023 May;83(7):587-619. PMID: 36947394

👨‍⚕️監修医師のコメント

最近の観察研究では、 総睡眠時間と脳卒中発生リスクなどがU字型の関連を示しており、 長ければ良いという感じでは無くなってきました。 睡眠はさらなる質の向上を求め、 まだまだ巨大なマーケットと言えると思います。


背景

薬物療法は、 不眠症の管理において一般的であり、 広く使用されている。 しかし、 不眠症に対する薬物クラスや個々の薬物間の相対的有効性、 安全性、 エビデンスの確実性を比較したエビデンスはまだ不足している。

研究デザイン

方法

PubMed、 Embase、 Cochrane Central Register of Controlled Trials、 PsycINFO、 ClinicalTrials.govを、 開始時から2022年1月10日までに検索し、 成人の不眠症患者において不眠治療薬をプラセボまたは活性比較薬と比較したランダム化比較試験を特定。

メタ解析を行ってエビデンスをまとめ、 GRADEアプローチで確実性の評価、 介入の分類、 所見の提示を行った。

研究結果

解析対象

4万6,412人の参加者と8つの薬物クラスから36の薬剤を評価した153件の臨床試験が含まれた。

総睡眠時間の改善

主観的および客観的に測定された総睡眠時間は、 非ベンゾジアゼピン系薬、 抗うつ薬、 オレキシン受容体拮抗薬で有意に改善した。

非ベンゾジアゼピン系薬

  • 主観的:MD 25.07、 95%CI 15.49-34.64、 確信度:低
  • 客観的:MD 22.34、 95%CI 7.64-37.05、 確実性:高

抗うつ薬

  • 主観的:MD 54.40、 95% CI 34.96-75.83、 確実性:低
  • 客観的:MD 35.64, 95% CI 13.05-58.24、 確実性:高

オレキシン受容体拮抗薬

  • 主観的:MD 21.62、 95%CI 0.84-42.40、 確実性:高
  • 客観的:MD 31.81, 95% CI 2.66-60.95、 確実性:高

薬剤別では、 doxepin、 almorexant、 スボレキサント、 レンボレキサントは、 忍容性が良好で、 有害事象リスクが低く、 有効な薬剤であった。

睡眠潜時の短縮

非ベンゾジアゼピン系薬、 メラトニン受容体作動薬で有意に短縮された。

非ベンゾジアゼピン系薬

  • 主観的:MD -10.12、 95%CI -13.84--6.40、 確実性:中
  • 客観的:MD -12.11、 95%CI -19.31--4.90、 確実性:中

メラトニン受容体作動薬

  • 主観的:MD -7.73、 95%CI -15.21--0.26、 確実性:高
  • 客観的:MD -7.04、 95%CI -12.12--1.95、 確実性:中

特に、 zopicloneは、 最も有効で有害事象のリスクが低いものの、 忍容性は劣っていた。

中途覚醒の短縮

非ベンゾジアゼピン系薬は、 睡眠後の中途覚醒を有意に減少させた。

  • 主観的:MD -16.67、 95%CI -21.79--1.56、 確実性:中
  • 客観的:MD -13.92、 95%CI -22.71--5.14、 確実性:中

結論

非ベンゾジアゼピン系薬剤は、 総睡眠時間、 入眠潜時、 入眠後覚醒時間をいずれも改善すると考えられる。 また、 他の不眠症治療薬クラスや個々の薬剤も、 不眠症状の改善において潜在的な効果を示した。 しかし、 不眠症治療薬の選択は、 提示された不眠症の表現型、 および各薬剤の安全性と忍容性に基づいて行う必要がある。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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