海外ジャーナルクラブ
1年前
Luoらは、 抗シトルリン化蛋白抗体 (ACPA) 陽性の関節リウマチ (RA) の高リスク者 (PreRA) の便検体を健常者と比較し、 腸内細菌叢 (GM) の差や粘膜免疫系への影響、 関節炎発症への影響を検討。 その結果、 RAリスクの高い個体においては腸内細菌叢の異常とメタボロームの変化が既に生じていることが明らかとなった。 本研究はArthritis Rheumatol誌において発表された。
臨床検体での前向き調査とマウスでの病態整理の検討を組み合わせた素晴らしい研究成果です。
PreRA群ではHC群に比し、 便微生物多様性が低く、 細菌群集の構造と機能についても有意に群間差があった。
PreRAサブグループ間の細菌量にはある程度差があったが、 強固な機能差は観察されなかった。
アミノ酸代謝と脂質代謝のKEGGパスウェイ解析の結果、 PreRA群の血清中代謝産物はHC群とは劇的に異なることが確認された。
PreRA群の腸内細菌はFMTマウスの腸管透過性を亢進させ、 小腸およびCaco-2細胞におけるZO-1発現を増加させた。 腸間膜リンパ節およびパイエル板におけるTh17細胞も、 PreRA-FMTマウスではHCと比較して増加していた。
関節炎発症前の腸管透過性の変化とTh17細胞の活性化によるコラーゲン誘導関節炎の重症度は、 PreRA-FMTマウスの方が高かった。
腸内細菌異常とメタボロームの変化は、 RAリスクの高い個体ですでに生じている。 前臨床個体からのFMTは腸管バリア機能障害を誘発し、 粘膜免疫を変化させ、 関節炎発症をさらに助長する。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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