【Arthritis Rheumatol】ACPA陽性RA、 発症前から腸内細菌叢に異常
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1年前

【Arthritis Rheumatol】ACPA陽性RA、 発症前から腸内細菌叢に異常

【Arthritis Rheumatol】ACPA陽性RA、 発症前から腸内細菌叢に異常
Luoらは、 抗シトルリン化蛋白抗体 (ACPA) 陽性の関節リウマチ (RA) の高リスク者 (PreRA) の便検体を健常者と比較し、 腸内細菌叢 (GM) の差や粘膜免疫系への影響、 関節炎発症への影響を検討。 その結果、 RAリスクの高い個体においては腸内細菌叢の異常とメタボロームの変化が既に生じていることが明らかとなった。 本研究はArthritis Rheumatol誌において発表された。 

📘原著論文

Alteration of gut microbiota in high-risk individuals for rheumatoid arthritis is associated with disturbed metabolome and initiates arthritis by triggering mucosal immunity imbalance. Arthritis Rheumatol. 2023 May 23. PMID: 37219936

👨‍⚕️監修医師のコメント

臨床検体での前向き調査とマウスでの病態整理の検討を組み合わせた素晴らしい研究成果です。

🔢関連コンテンツ

関節リウマチ分類基準 (2010)

ACR/EULAR RA分類基準 (2010)

研究デザイン

方法

  • ACPA陽性のPreRA 53例と健常人 (HC) 38例から便検体を採取。
  • 16S rRNAの塩基配列決定により、 HCとPreRAの間の、 あるいはPreRAのサブグループ間の腸内細菌組成の違いを同定し、 血清中の代謝産物プロファイルとGMとの相関についても調査した。
  • HC群またはPreRA群のGMを抗生物質で前処理したマウスを用い、 腸管透過性、 炎症性サイトカイン、 免疫細胞集団について評価した。
  • コラーゲン誘発関節炎 (CIA) を応用し、 PreRA群からの糞便微生物移植 (FMT) がマウスの関節炎重症度に及ぼす影響についても検討した。

研究結果

PreRA群とHC群における腸内細菌の差

PreRA群ではHC群に比し、 便微生物多様性が低く、 細菌群集の構造と機能についても有意に群間差があった。

サブグループ解析

PreRAサブグループ間の細菌量にはある程度差があったが、 強固な機能差は観察されなかった。

血清中代謝産物

アミノ酸代謝と脂質代謝のKEGGパスウェイ解析の結果、 PreRA群の血清中代謝産物はHC群とは劇的に異なることが確認された。

FMTによる影響

PreRA群の腸内細菌はFMTマウスの腸管透過性を亢進させ、 小腸およびCaco-2細胞におけるZO-1発現を増加させた。 腸間膜リンパ節およびパイエル板におけるTh17細胞も、 PreRA-FMTマウスではHCと比較して増加していた。

コラーゲン誘導関節炎の重症度

関節炎発症前の腸管透過性の変化とTh17細胞の活性化によるコラーゲン誘導関節炎の重症度は、 PreRA-FMTマウスの方が高かった。

結論

腸内細菌異常とメタボロームの変化は、 RAリスクの高い個体ですでに生じている。 前臨床個体からのFMTは腸管バリア機能障害を誘発し、 粘膜免疫を変化させ、 関節炎発症をさらに助長する。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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