HOKUTO編集部
12日前
DNAミスマッチ修復機構欠損 (dMMR) を有するIII期大腸癌の術後療法として、 抗PD-L1抗体アテゾリズマブ+mFOLFOX6併用療法*の有効性および安全性を、 mFOLFOX6療法単独と比較評価した第III相試験ATOMIC (Alliance A021502) の結果、 DFSが有意に改善した。 米・Mayo Clinic RochesterのFrank A. Sinicrope氏らが発表した。
III期大腸癌への標準術後療法は、 ミスマッチ修復 (MMR) の状態に関わらずフルオロピリミジン+オキサリプラチン併用療法である。 しかし、 大腸癌の約15%はdMMRであり、 術後療法後もⅢ期患者の約30%が再発を経験する。
免疫チェックポイント阻害薬はdMMRの転移性大腸癌に対して承認されているものの、 III期dMMR大腸癌において、 術後療法における有効性は不明であった。
対象は、 完全切除 (R0) された12歳以上のIII期dMMR大腸腺癌 (TanyN1-2M0) で、 ECOG PS≦2、 術後10週以内 (術前1サイクルのmFOLFOX6投与は許容) などの適格基準を満たす712例だった。 dMMRステータスは免疫組織化学染色 (IHC) 法で判定され、 中央判定で検証された。
患者は以下の2群に1:1の割合で無作為に割り付けられた。
層別化因子は、 Nステージ (N1/N1c vs N2)、 Tステージ (T1-T3 vs T4)、 原発巣の部位 (近位 vs 遠位) であった。
主要評価項目は無病生存期間 (DFS) とされた。 副次評価項目には、 全生存期間 (OS) および有害事象 (AE) などが含まれた。
患者背景は両群間で概ね同等だった。 原発巣が近位結腸であった割合はアテゾリズマブ群84.8%、 mFOLFOX6群82.9%、 高リスク (T4/N2) の割合はそれぞれ31.5%/31.9%、 36.3%/37.0%だった。
2回目の計画された中間解析時点 (データカットオフ2025年2月4日) において、 追跡期間中央値37.2ヵ月の時点でDFSイベントは125件観察された。
3年DFS率はアテゾリズマブ群が86.4% (95%CI 81.8-89.9%)、 mFOLFOX6群が76.6% (同 71.3-81.0%) だった (HR 0.50、 95%CI 0.34-0.72、 層別化p<0.0001)。 事前に規定された両群の有意差の閾値 (0.009) を満たしたことから、 アテゾリズマブ群における有意な改善が示された。 また、 70歳以上や低リスク・高リスク群を含むDFSサブグループ間でも、 アテゾリズマブ群の優越性が一貫して認められた。
中央判定でのdMMR例において、 3年DFS率はそれぞれ86.6% (95%CI 81.9-90.2%)、 77.1% (同 71.5-81.8%)、 HR 0.53 (0.36-0.79)、 p=0.0007だった。
OSデータは、 本試験の評価時点ではimmatureであった (追跡期間中央値42.5ヵ月)。
Grade 3以上の治療関連有害事象 (TRAE) 発現率は、 アテゾリズマブ群で72.3%、 mFOLFOX6群で59.2%に認められた。 Grade 5のTRAEはそれぞれ2例 (0.6%)、 0例だった。
アテゾリズマブ群で高頻度に発現したAE (全Grade) は、 疲労、 悪心、 末梢性感覚ニューロパチー、 好中球数減少、 下痢などであった。 免疫関連有害事象においては、 両群間で臨床的意義のある差は認められなかったものの、 甲状腺機能低下症 (Grade1-2) はアテゾリズマブ群でやや多く認められた (20.5% vs 3.6%)。
Sinicrope氏は、 「アテゾリズマブ+mFOLFOX6併用療法は、 mFOLFOX6単独療法と比較してDFSを有意に改善し、 安全性プロファイルは各薬剤で既知のものと一致していた。 本試験の結果は、 dMMRを有するⅢ期大腸癌に対する術後療法として、 アテゾリズマブ+mFOLFOX6併用療法が新たな標準治療となることを支持するものである」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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