HER2陽性の切除不能進行・再発胃癌において、 トラスツズマブ+S-1+オキサリプラチンの併用療法 (T-SOX130療法) の効果を検証した単群コホートの第Ⅱ相試験KSCC/HGCSG/CCOG/PerSeUS 1501Bの結果より、 T-SOX130療法の良好な忍容性と、 有望性が示された。
原著論文
▼解析結果
Multicenter phase II study of SOX plus trastuzumab for patients with HER2+ metastatic or recurrent gastric cancer: KSCC/HGCSG/CCOG/PerSeUS 1501B. Cancer Chemother Pharmacol. 2020 Jan;85(1):217-223. PMID: 31768696
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KSCC/HGCSG/CCOG/PerSeUS 1501B試験の概要
対象
- 化学療法未治療または術後化学療法としてS-1を内服終了後180日経過した、 HER2陽性の切除不能進行・再発胃癌
- 20~79歳
方法
39例を以下のレジメンを21日毎に繰り返した。
トラスツズマブ8mg/kg (2サイクル目以降は6mg/kg) day1+S-1 40mg/m² day1~14 1日2回+オキサリプラチン130mg/m² day1
評価項目
主要評価項目:全奏効割合 (RR)
副次評価項目:全生存期間 (OS) 、 無増悪生存期間 (PFS) 、 治療成功期間 (TTF) 、 治療強度 (dose intensity) 、 安全性
KSCC/HGCSG/CCOG/PerSeUS 1501B試験の結果
患者背景
年齢中央値は66.0歳、 男性は79.5%、 肝転移を認めたのは56.4%
治療強度
- 治療サイクル数の中央値は8コース
- 相対用量強度は、 S-1 87.1%、 オキサリプラチン80.1%、 トラスツズマブ73.8%
- 治療中止の理由は、 病勢進行 (22例) 、 有害事象 (6例) 、 根治切除への移行 (9例) 、 その他 (1例) であった。
追跡期間中央値
22.4ヵ月
RR
CR 9例、 PR 23例、 SD 2例
奏効率 (ORR)
82.1%
(95%CI 70.0-90.0%)
病勢コントロール率
87.2%
(95%CI 73.3-94.4%)
OS中央値
27.6ヵ月
(95%CI 15.6ヵ月-NR)
OS率 (1年時、 2年時)
74.4%、 57.9%
PFS中央値
7.0ヵ月
(95%CI 5.5-14.1ヵ月)
TTF中央値
5.7ヵ月
(95%CI 4.6-7.0ヵ月)
有害事象 (AE)
- 最も頻度の高い重篤な血液学的AEは血小板減少症であり、 Grade3~4が7例 (17.9%) に発現した。
- 最も多くみられたGrade3~4の非血液学的AEは、 食欲不振 (17.9%) 、 低ナトリウム血症 (10.3%) 、 悪心 (7.7%) 、 下痢 (7.7%) であった。
- 治療に関連した死亡例はなかった。
著者らの結論
- HER2陽性の切除不能進行・再発胃癌において、 T-SOX130療法は良好な忍容性を示し、 カペシタビン+シスプラチン (XP療法) またはS-1+シスプラチン (SP療法) +トラスツズマブレジメンと同等の有効性が示された。
- T-SOX130療法がHER2陽性進行胃癌の標準治療となる可能性が示唆された。