海外ジャーナルクラブ
9ヶ月前

慶應義塾大学外科学教室の小林亮太助教、 北川雄光教授らの研究グループは、 術前療法後に食道亜全摘術を受けた食道扁平上皮癌 (ESCC) 患者を対象に、 術前循環腫瘍DNA (ctDNA) の臨床的意義を縦断的研究で検討した。 その結果、 術前にctDNA陽性と判定された患者は再発リスクが有意に高く、 ctDNAが有望な予後バイオマーカーである可能性が示された。 研究結果はEur J Surg Oncol誌に発表された。
本邦からの研究成果です。 ctDNAの測定システムを施設として確立し、 はっきりとした差を持つバイオマーカー研究成果に至っています。 今後がさらに期待されます。
ESCCに対する周術期治療の個別化戦略を確立するためには、 術前療法中の腫瘍負荷を正確に評価する術前モニタリング法が必要である。 近年、 ctDNAは全身の腫瘍量を定量的に評価する方法として普及しつつあり、 さまざまな癌腫の重要な予後因子であることが知られている。
この研究では、 ESCCにおける術前血中ctDNAの予後への影響を評価した。
術前療法後に食道亜全摘術を受けたESCC患者25例において、 原発巣からゲノムDNAを採取するとともに、 ctDNA解析のために血漿サンプルも縦断的に採取し、 次世代シーケンサーを用いて双方で変異を同定した。 局所進行ESCC患者におけるctDNAの変化と再発との関係を評価した。

解析した全25例の術前検体で、 ctDNAと原発巣の双方で同じ変異を示した。
術前療法後にctDNA陽性と判定された患者では、 再発リスクが有意に高く、 36ヵ月無再発生存 (RFS) 率はctDNA陰性患者が92%、 ctDNA陽性患者が8%であった (p<0.001)。
著者らは 「術前のctDNAの状態が、 術前療法を受けたESCC患者の予後を術前に評価できるバイオマーカーとして有望である。 コホートを拡げて検証することで、 ctDNA解析にあわせてESCCの集学的治療アプローチを個別化することが可能になるであろう」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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