海外ジャーナルクラブ
11日前

Kuらは、 レニン・アンジオテンシン系 (RAS) 阻害薬開始後に推算糸球体濾過量 (eGFR) が急激に低下した成人患者を対象に、 RAS阻害薬の中止および継続が心血管イベント、 腎障害、 および死亡のリスクに及ぼす影響を、 target trial emulation approachを用いた後ろ向きコホート研究で評価した。 その結果、 RAS阻害薬を中止した患者では、 継続した患者と比べて末期腎不全 (ESKD) および死亡リスクが有意に高く、 継続使用を改善するための戦略を策定する必要があると結論づけられた。 本研究はJAMA Netw Open誌において発表された。
Limitationは、 RAS阻害薬中止理由の詳細が把握できておらず、 重症患者の偏りによる選択バイアスや残余交絡の可能性が否定できない点です。
RAS阻害薬は慢性腎臓病の進行を遅らせるものの、 投与開始後にeGFRが急激に低下した場合、 これらの薬剤は頻繁に中止される。
カナダ・マニトバ州の生命統計データと連結されたManitoba Centre for Health Policy保有の電子健康記録データを基に、 2008年1月1日~2021年12月31日にRAS阻害薬を新規処方され、 その後、 90日以内にeGFRが15%超低下した18歳以上の患者4,233例 (平均年齢 64.6歳 [標準偏差 16.2歳]、 男性 2,697例 [51.1%]) を傾向スコアマッチングを用いて選定し、 RAS阻害薬の中止および継続*が心血管イベント、 腎障害、 および死亡リスクに及ぼす影響を、 target trial emulation approachを用いた後ろ向きコホート研究で評価した。
180日後に、 主要アウトカムであるESKDまたは死亡、 副次アウトカムである主要心血管イベント (MACE : 心筋梗塞、 心不全、 脳卒中、 心血管死) または急性腎障害 (AKI) を評価した。 曝露とアウトカムの関連は、 intention-to-treatアプローチに基づき、 Cox比例ハザードモデルを用いて検討した。
解析対象患者のうち1,411例 (33.3%) がRAS阻害薬を中止し、 2,822例 (66.6%) がRAS阻害薬を継続した。
RAS阻害薬の中止群は継続群と比べて死亡リスク (HR 1.23 [95%CI 1.07-1.41]) およびESKDリスク (HR 1.74 [95%CI 1.28-2.38]) が有意に高かった。
一方で、 MACEリスク (HR 1.13 [95%CI 0.99-1.28]) およびAKIリスク (HR 1.11 [95%CI 0.90-1.37]) では両群間に有意差が認められなかった。
著者らは 「本コホート研究において、 eGFRの急激な低下後にRAS阻害薬を中止した患者では、 継続した患者と比べてESKDおよび死亡リスクが高かった。 これらの知見は、 今後、 RAS阻害薬が頻繁に中止される背景を明らかにし、 継続使用を改善する戦略を策定するうえで、 さらなる研究が必要であることを示唆している」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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