HOKUTO編集部
8ヶ月前
解説 : 赤松弘朗先生¹⁾ / 監修 : 津谷康大先生²⁾
❶ 3ヵ月ごとの胸腹部CT
❷ 半年ごとの胸腹部CT
❸ 1年ごとの胸腹部CT
根治的治療を行った後の経過観察については、 日本のガイドラインで言及はないものの海外ではいくつかの方向性が示されている。 多くは科学的根拠に基づくものではなく、 過去の臨床試験などの知見に基づくものである。
📘ASCO、 ESMOガイドライン
2年までは半年ごとのCT、 その後は5年まで1年ごとのCTが推奨されている¹⁾²⁾。 頭部MRI・PETに関しては推奨されていない。
📕NCCNガイドライン
3年までは3~6ヵ月ごとのCT、 その後は5年まで半年ごとのCTが推奨されている³⁾。 頭部MRI・PETに関しては推奨されていない。
術後補助療法・化学放射線治療 (CRT) については、 免疫チェックポイント阻害薬 (ICI) や分子標的薬を用いる場面が出ており、 これらについてどのようなフォローアップが適切なのかは不明である。
以上より、 ❷ 半年ごとの胸腹部CT
📊IFCT-0302
フランスで行われたstage Ⅰ~ⅢAの非小細胞肺癌に対する術後経過観察法としての胸部X線と胸腹部CTの比較試験 (最初の2年は半年ごと、 以後1年ごと) では、 両群ともに全生存期間 (OS) の差はなく、 再発や二次肺癌の発見はCT施行群で多いという結果であった⁴⁾。
📊JCOG2012
本邦ではstage Ⅱ~Ⅲに対しては一般的に半年ごとの胸腹部CTが施行されることが多く、 現在放射線被曝の少ない1年ごとのCTと半年ごとのCT検査の比較試験が進行中である (JCOG2012)。
現時点では完全切除後のstage ⅢAにおいても半年ごとのCTが行われることが多い状況であり、 それよりも局所再燃や増悪のリスクの高いCRT後の胸腹部CT検査の頻度を下げる必要はないと思われる。
デュルバルマブ投与から2年経過し、 無増悪であれば3ヵ月ごとの胸腹部CT検査は過剰とも思われる (医療コストや放射線被曝についても考慮されるべきである)。
以上より、 ❷ 半年ごとの胸腹部CT
出典
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。