海外ジャーナルクラブ
11ヶ月前
Hattoriらは、 末梢小型非小細胞肺癌 (NSCLC) 患者を対象に、 肺葉切除術と区域切除術の術後転帰を多施設共同非盲検第Ⅲ相試験JCOG0802/WJOG4607Lで比較した。 事後解析の結果、 区域切除術が全生存期間 (OS) の改善に関連していることが明らかとなった。 本研究は、 Lancet Respir Med誌において発表された。
RCTの2次解析結果です。 性別は男女で治療効果が逆になることはよくありますが、 年齢は連続数での解析を確認したいです。 年齢分布を見ても70歳のカットオフではなく、 65歳ではどうであったか、 気になります。
JCOG0802/WJOG4607Lにおいて、 胸部薄切CTで画像的にpure-solid tumorの外観を有するNSCLC患者のOSは、 肺葉切除術よりも区域切除術の方が良好であったが、 区域切除術がOSの向上に関連する理由は不明であった。
2009年8月10日~2014年10月21日に、 1,106例の患者が肺葉切除術を受ける群と区域切除術を受ける群に無作為に割り付けられた。 それらの患者のうち、 胸部薄切CTでpure-solid tumorの外観を示すNSCLC患者553例が事後解析の対象となった。
OS、 無再発生存期間 (RFS)、 死因ごとの死亡率、 局所再発
区域切除術群の方が肺葉切除術群よりも有意に高かった。
HR 0.64 (95%CI 0.41-0.97、 p=0.033)
両群間で同程度であった。
HR 1.01 (95%CI 0.72-1.42、 p=0.94)
肺癌による死亡
その他の原因による死亡
肺癌死亡 vs その他の死因 : p=0.19
局所再発は区域切除術の方が高かった。
p=0.0021
70歳以上の患者
区域切除術群の方が肺葉切除術群よりも5年OSが良好であった。
p=0.013
70歳以上の患者においては男性の方が5年OSが良好であった。
p=0.0085
70歳未満の患者
肺葉切除術群の方が区域切除術群よりも5年RFSが良好であった。
p=0.049
NSCLC患者における区域切除術後のOSは、肺葉切除術後と比較して改善したことが示された。 一方、 区域切除術の生存成績は患者の年齢と性別に依存した。 この結果を考慮すると、 胸部薄切CTでpure-solid tumorの外観を示すNSCLCにおける区域切除の適切な適応を決定するためには、 さらなる研究が必要である。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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