海外ジャーナルクラブ
2ヶ月前
Gagelmannらは、 骨髄線維症を対象に、 同種造血幹細胞移植 (allo-HSCT) 後のドライバー遺伝子変異のクリアランスが再発率および生存率に与える影響について、 高感度PCR法を用いて解析した。 その結果、 移植後30日目のドライバー遺伝子変異クリアランスと再発リスクの低下および生存率の改善に関連性が示唆された。 本研究はNEJMにて発表された。
ドイツ人コホートのため、 ヒスパニックや黒人の患者が含まれていないことをlimitationとして記載しています。
MIPSS-70 MIPSS-70+ Version 2.0
骨髄線維症においてはallo-HSCTが唯一の根治的治療法である。 ドライバー遺伝子変異は骨髄線維症の病態生理学的特徴の1つであるが、 allo-HSCT後の変異遺伝子クリアランスの意義については、 これまで明らかにされていない。
移植が予定されていた骨髄線維症患者324例を対象に、 末梢血サンプルを用いてドライバー変異 (JAK2、 CALR、 MPL) の有無を高感度PCR法で解析した。
また、 移植前、 移植後30日目、 100日目、 180日目に変異遺伝子の検出を行ったうえで、 クリアランスによる効果を検証した。
なお、 主要評価項目は再発率と無病生存率 (DFS) とした。
移植後1年時における再発率は、 移植後30日目に変異遺伝子クリアランスが認められた患者では6% (95%CI 2-10%) であったのに対し、 変異遺伝子クリアランスが認められなかった患者では21% (95%CI 15-27%) であった。
6年後のDFS率は、 変異遺伝子クリアランスが認められた患者で61%、 認められなかった患者で41%であった。 全生存率 (OS) はそれぞれ74%、 60%であった。
また、 移植後30日目における変異遺伝子クリアランスは再発または進行のリスク低下と独立した関連を示した (HR 0.36、 95%CI 0.21-0.61)。
著者らは 「骨髄線維症患者において、 移植後30日時点でのドライバー遺伝子変異クリアランスはドライバー遺伝子変異の種類によらず、 再発率の低下およびOSの改善との関連性があることが示された」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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